世の中が大きく変わっていくとき、人びとの心は不安にさらされる。産業革命によって機械化が進展した1800年代初頭の英国はまさにそうだった。
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繊維産業を中心に、「機械に仕事を奪われる」と不安を感じた手工業者や労働者が織物工場や織機を破壊した。ラッダイト運動と呼ばれたこの行動は、農業などにも波及、労働者と軍隊との衝突も起こり、破壊者に対して死刑も執行されたという。
それから約200年後の現代は、第4次産業革命が世界的に進行する。本紙1月1日付でも取り上げたが、Iot(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ビッグデータの活用が繊維ファッションビジネスでもテーマとなっている。
一方で世の中では、「AIが取って代わる業種」といった話がセンセーショナルに取り上げられるなど、まだ見えぬ将来に不安もつきまとう。しかし、テクノロジーを人間の幸せのために生かす努力こそ大事ではないか。危険な重労働や単純作業から解放されれば、人間の仕事はもっとクリエイティブになるはずだ。(恵)