セレクトショップをはじめとする有力品揃え型専門店が12月初めまでに、18年春夏の品揃えを披露した。目立ったテーマは、大人マリンや南米風など。きれいな色柄を軸にしたフェミニンなスタイルを推す店が多かった。
そんななか際立ったのはバーニーズニューヨークの提案だ。テーマは「ファッション・アズ・ミュージック」。ファッションディレクターの鈴木春さんは「音楽のように、気持ちが上がるエモーショナルなファッションを発信する」という。細分化するトレンド商品を主役にするのではなく、内面に訴えかけるストーリーのある商品に焦点を当てている。
大切なのは、デザイナー自身がその商品を作る理由だ。パーソナルな理由もあれば、サステイナブル(持続可能)な理由もある。商品そのものの魅力に加え、その背景に共感できたとき、商品に価値が生まれるというわけだ。
大量に生産されるアパレル製品の中から何かを選ぶときに、価格や機能だけが基準になるのはむなしい。心に響くからこそ、ファッションは楽しい。そこを強調する動きに未来を感じる。
(規)