専門店レディス2月の売り場観測 今から着る春服 デニムがヒットの兆し

2023/02/09 07:58 更新


 春物が少しずつ売れ始めている。なかでも注目はデニムアイテムだ。ジーンズの品揃えを充実させたり、デニムドレスをウィンドーに飾って集客につなげたりしている店がある。ほか、今から着られる春ニットを推す。春アウターはMA‐1やトレンチコートなどが揃い、明るく軽やかな淡いベージュやライトブルーなど色物にも期待する。オケージョン向けの提案を強化する店も目立つ。(価格はすべて税込み)

ドゥーズィエムクラスルミネ有楽町店

一番に着てもらいたい一着

 寒い今の時期からでも着られる春服を推す。セールが落ち着き、新しい服を求める客に、次のシーズンで一番に着てもらいたい服をしっかり見せて購買意欲をかきたて、売り上げにつなげたい考え。

 前半はトラッドをベースにしたベーシックなアイテム、後半はモードな雰囲気の「エブリデイアイライク」の新作が入荷する。このほか、1カ月を通し、春が来たらすぐに取り入れられるデニムアイテムも強化する。特にジーンズの品揃えに力を入れ、ワイドシルエットやダメージ加工したものなど種類が豊富。春ニットやビンテージ風のスウェットにも注目だ。

 今年の新たな試みとして、1月中旬から「春見えするMD」を組んでいる。セール期でも値引きされているかどうかにかかわらず、本当に欲しいものを吟味して購入する傾向が強まっているのを受けた結果だ。トレンチコートは3ブランドをまとめて出し、感度の高い客層に「メゾン・マルジェラ」が受けた。

ジャケット11万円、ニットトップ2万3100円、ジャージートップ1万3200円、パンツ4万9500円「ドゥーズィエムクラス」、バッグ11万2200円「ワンドラー」、シューズ8万8000円「ネオアス」
コート8万3600円、スカート3万9600円「ドゥーズィエムクラス」、ジャージートップ1万780円「クチュール・ド・アダム」、バッグ8万3600円「デメリエー」、シューズ5万9400円「ペリーコ」

アダム・エ・ロペアトレ恵比寿店

ドレッシーを二つのテイストで

 23年春夏のテーマ「メイクアップシャイン」から派生した二つのスタイルを推す。一つ目は、デイリーウェアにジャケットやドレスを組み合わせたセミドレスアップスタイル。古着のようなTシャツとスウェットパンツにチュールのキャミソールドレス、MA-1とスウェットに毛足の長いカットジャカードのスカートなど、手持ちにありそうなものとドレッシーなアイテムをミックスして提案する。

 二つ目は、ブランドらしいモード感を利かせた仕事着とオケージョンスタイル。ブランドパーパスの「新しいスタイルを提案したい」思いと、もっと伸ばせそうな芽を感じていることから、改めて力を入れる。イチ押しはセットアップ。定番のスラックスにそれぞれ共地でトップを作った。例えばジレは後ろのウエスト部分にパニエを仕込んでおり、着ると後ろ身頃が華やかに広がる。コンサバティブに収まらない個性が光る。

 春アウターや今から着用できるトップとボトムもバリエーションを見せてしっかり売る。

ジャケット2万9700円、ドレス2万4200円、パンツ1万6500円、シューズ1万7930円「アダム・エ・ロペ」、Tシャツ1万6500円「アニン・ビン」、バッグ3万3000円「ビゴター」
プルオーバー1万6940円、パンツ1万8700円、肩にかけたチュールの付け襟1万9350円、バッグ9900円、シューズ1万7930円「アダム・エ・ロペ」

ローズバッド新宿店

新商品を種類豊富に

 新入荷が多いため、バリエーションを見せて実売につなげる。バッグが中心の雑貨ブランド「アドカラム」の期間限定店でふり客を、アパレルの新商品で顧客を呼び込む。バッグは単価が低いが、アパレルで客単価を上げる。

 アパレルは昨秋冬に立ち上げたローズバッドの新ライン「ローズバッド・プレ」を推す。もともとオリジナルを担当していたデザイナーの水島聡美さんが手掛けており、素材感や手の込んだディテールにこだわったものが多い。柄物も豊富。オリジナル柄のジャカードのドレス、グラデーション糸と無地の糸を組み合わせて甘く編んだセーター、フロントに複雑な刺繍をしたシャツなどがある。売り場の前面に集積して打ち出す。

 インバウンド(訪日外国人)が本格的に戻ってきており、現在、外国人客で店頭がにぎわっている。アジア圏だけでなく欧州からの来訪も増え、来店が途絶えない状況だ。まとめ買いも多数。他にない独自性のあるデザインが受けている。

ドレス1万9910円「ローズバッド・プレ」、シューズ1万9250円「ピュコモダ」
セーター1万6940円「ローズバッド・プレ」、ジーンズ1万1550円「サムシング」、ハット5500円「ローズバッド」、バッグ1万2980円「ローラ・ディ・マッジオ」、スニーカー1万4300円「プーマ」

アーバンリサーチ・ロッソグランフロント大阪店

先見せ商品の実売

 受注会で先見せした商品の販売を強化する。定番企画の「リー」「ラングラー」と協業したデニムドレス、サロペットスカートはウィンドーで見せており、ベルト付きのドレスは主婦層からの反応が良い。中旬からは、1月に受注を取った春アウターが入荷する。ナイロンのMA-1ブルゾン、ライトブルーやグリーンのトレンチコート、ノーカラーコートなど。受注数は多くなかったが、インスタライブやLINEでの発信など複数のメディアで露出したため、実売期での来店に期待する。

 集客策として、初旬にパンツブランド「マーフォーク」の受注会を開催する。絶滅が危惧される魚をプリントしたパンツで、完全オーダーメイドの希少性や、都会的なデザインが店に合うことから初めて取り組む。今月は館の冊子での掲載や館内ディスプレーの採用も決まっている。1月期決算のため1月は他社と比べてセール偏重だったが、今月は強化商品とイベントで新鮮さが出せると見る。

「ラングラー」と協業したサロペットスカート1万2100円、ブラウス1万4300円、ネックレス1万3500円、「ロッソ」、シューズ2万5300円「パスクッチ」
線画プリントのドレス1万7600円、肩に掛けたプルオーバー1万4300円「ロッソ」、スニーカー7700円「ナイキ」

《ここに注目》オケージョン売れ出す

 春の入卒式が徐々に再開し、結婚式など晴れの場も増えてきた。オケージョンに対応し、日常でも着られる服が売れている。

“セミオケ”服

 入卒のマザーニーズに向けた提案も大事になる。カジュアル志向の高まりで、デイリーにも着られる〝セミオケージョン〟服を中心に揃える。タートルネックセーターと合わせていたVネックドレスも、ブラウスやネックレスと合わせると試着につながる。

ドレス9702円(セール価格)、ブラウス1万4300円、ともに「ロッソ」、ネックレス2万5300円「インツーデザイン」、ブーツ1万9250円(セール価格)「レメ」(アーバンリーチ・ロッソグランフロント大阪店)

オンオフで使えるドレス

 毎シーズン人気のドレス。ベーシックなデザインだが、華やかなバルーンスリーブと上品な光沢のある素材で結婚式の二次会やオケージョンにも向き、使いやすいと売れている。式典が増えてくるこれからの時期に期待が高まる。色は無地のグリーン、ベージュと抽象柄の3種類。

ドレス1万4850円、インナー1万890円、キャスケット4950円(セール20%オフで3960円)「ローズバッド」、バッグ1万5180円「ローラ・ディ・マッジオ」、シューズ1万5440円「スティルモーダ」(ローズバッド新宿店)

楽に着られる

 年明けから、春の入卒式に向けてオケージョン需要がじわじわと高まっている。オリジナルのジャージーのトップとスカートのセットアップは、発売前からウェブで先見せして反応があり、実際に売れた。楽に着られ、オケージョンにも使える点が評価されている。

トップ2万5300円「ドゥーズィエムクラス」(ドゥーズィエムクラスルミネ有楽町店)

春を感じる淡いカラー

 春アウターのおすすめとして、トルソーに着せ付けて入り口で訴求している。ありがちなカーキや黒ではなく、ベージュの淡い色がきれいめなスタイルにもはまりやすい。色はほかにライトブルーもある。ブルゾンやキルティングアウター、中わた入りのアウター類含め、「今から着られる」点ですすめる。

MA-1「プロヴォーク」2万8600円(アダム・エ・ロペアトレ恵比寿店)

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