《小笠原拓郎の聞かせて言わせて》パリでキャリアを再構築する「ウジョー」西崎暢さん

2019/10/15 06:29 更新会員限定


《小笠原拓郎の聞かせて言わせて》パリでキャリアを再構築する「ウジョー」デザイナー 西崎暢さん 製作過程でいびつさのある美に気付かされる

 ミラノ・コレクションで見せる日本のブランドとして着実にキャリアを築いてきたウジョーが、20年春夏はショーをやめるという。テーラードやワークといったマスキュリンの要素を取り入れながら、軽やかなカッティングで仕立てる服は海外でも徐々に認知されるようになってきた。それだけに、ここでミラノ・コレクションの休止には違和感も残る。デザイナーの西崎暢に、現状と今後の展望を聞いた。

(小笠原拓郎編集委員)

 小笠原 今回、ミラノ・コレクションをやらないと聞きました。今、やめるのはもったいない気もします。

 西崎 これまでパリで展示会は3年間やってきました。以前、ショーの手伝いで行っていたこともあり、見せる場としてのパリへの憧れは心のどこかであったかもしれない。

 正直なところ、ミラノじゃだめだっていうのはなかった。ただ、自分たちが半年かけて作っているものに対して、ミラノのショーが終わった時に「どうだったんだろうな」って思って調べてみると、インスタストーリーでフィナーレだけがアップされストーリーで消えていくっていう残り方しかなかった。こういうのはなんだろうなって作っている側は思う。

 「お前のショーはこうだから良くない」とか「こういうのが好きだ」とか、そういう反応って自分たちが次に向かう力にもなる。たとえ悪い批評だったとしても。もまれる環境で育ってきたから、そういう環境でこそ自分たちのクリエイションも高められると思ってやっている。だけど、誰もうんともすんとも言わなくて、小笠原さんだけですよ。「こうだと思ったらこうだったな」とか言ってくれるのは。このストーリーで消えていくだけのショーは、なんなんだろうって思って。

西崎暢さん

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