海外でのヨーロッパブランドの販売(坪内隆夫)

2014/03/20 11:17 更新


2014年になり、あっという間にもう3月も後半、色々書きたい事はたくさんあるのですが、これが今年初めてのレポートとなります。

これまでは、日本ブランドの海外進出でのサポートについて書いてきたのですが、今回はヨーロッパブランドの、ヨーロッパからの販売について書こうと思います。

私は日本ブランドの海外進出のお手伝いをこれからの大きな仕事のテーマとしてやって行きたいと思っているのですが、海外ブランドの販売もやっています。本当は日本ブランドの販売をするのに役立つので、海外のお店への販売の担当をしたいのですが、やはり日本のマーケットが大きい事と、私は日本人という事で、どうしても日本への販売を担当させられる事が多いのです。それでも、担当者がいないマーケットに関しては自分でそのマーケットも勝手に開拓していますが...。

有名ブランドは別ですが、海外では日本とは違い仕事が分担化され、ほとんどのブランドは外部のセールスエージェントに販売をゆだねています。このエージェントは、販売した金額の中からあらかじめ決められたコミッションをブランドから支払われます。大きなブランドほど資金力もあるので、多くのコレクションを用意する事が出来き、たくさんの販売エージェントを持っています。多い所になるとイタリアだけでも7つの地域のエージェントに販売を任せている所もあります。そのエージェントの分だけコレクションもそろえないと行けないので、それだけお金もかかります。

私はミラノのあるショールームの販売を手伝い、その他にも個人的にポーランドのシューズブランドNUNCの販売、これは全世界に向けて、他には日本ではそれほど有名ではありませんが、海外ではかなり知名度の高いイタリア人デザイナーANTONIO MARRASのメンズのファーストラインのアジアへの販売をやらせていただいています。このブランドはまだ海外に担当者がいない所もあるので、ブランドは私の方で市場の開拓をするのも認めてくれます。ちなみにANTONIO MARRASでは、はじめてアフリカのお店に販売しました(3ページ目に14-15年秋冬のコレクション動画があります)。

当然、日本のブランドと海外のブランドとでは仕事のやり方もかなり違います。正直な所を言うと、海外のブランドとの方が仕事がやりやすいです。というのは、日本はこれまでドメスティックマーケットがかなり強く、それだけでもちゃんと商売できたので、日本独自の仕事のやり方をしてきた訳ですが、海外、特にイタリアのファッション業界は外国への販売量がかなり多く、イタリアではとても重要な産業でもあり、これまで色々な国に販売してきているので、とても柔軟性があります。

日本のブランドの仕事をしていていつも問題になるのがサイズで、やはり海外にマーケットを求めている場合、当然その国のサイズにあった商品も作らないと行けないのですが、ロットが少ない、値段が高くなる等の問題で、アドバイスをしても中々その通りにはなりません。

海外に行くと決めたのであれば、やはりそれにあわせた物作りもしないと中々市場に入って行けない。しかし、ヨーロッパの場合、多くは工場がブランドのライセンスを持っていたりするケースも多く、その辺の融通がかなりききます。値段に関しても、今日本円に対してユーロが高くなっている、と言うと、日本のマーケットに関しては値段を下げてくれたり、サイジングにしても小さめの物を用意してくれたりします。これから日本のブランドも海外を視野に入れた展開を考えて行かないといけなくなると思いますが、こういった事に関しての柔軟性も必要だと思います。

 


ANTONIO MARRAS MEN’S のファッションショー会場CIRCOLO MARRAS。ここは普段ショールームとして使われ、私たちはここで販売をします。会場に入るとすぐにたくさんのサルト達が洋服を縫っています。今回のコレクションのテーマは彼のお父さんの仕事の回想で、イタリアのサルデェーニャ島で生地を販売しサルトとして洋服を作っていた彼の父の持っている生地のアーカイブからもう一度織り直して復元した生地を使ったり、彼の父をモチーフとしたパッチワークのシャツ等が発表されました 

会場はそれほど広くないのでモデルもすぐそばを歩いていて、とても暖かみのあるショーでした

CIRCOLO MARRASの一角にはとても雰囲気の良いお店もあります


ショーの動画はこちら。



ANTONIO MARRAS UOMO F/W 14-15 from NEGRI FIRMAN PR&COMMUNICATION on Vimeo.

Ciao!


坪内隆夫 つぼうちたかお 東京モード学園デザイン学部卒業後渡英、1年後に渡伊。デザイナーとして活動をはじめ、ミラノにてオーダーショプ「TAKAO MILANO」をオープン。2004年2月から2007年9月まで年に2度、ミラノ市の協賛を得て、ミラノファッションウィーク開催中に新人デザイナーを中心とした展示会UPSIDE MILANOを主催。その後、ミラノのショールーム、ファッションガイドブックへのコンサルタントを行い、2012年1月のPITTI UOMOから日本のメンズブランドのヨーロッパでのセールスプロモートをするプロジェクトJAY PROJECTを開始する。



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