業界を問わず企業のコンプライアンス(法令順守)を問われるケースが増えている昨今、ファッション業界でも商標登録の事情が変わっている。日本弁理士会の山田朋彦弁理士に聞いた。
■フルネームはダメ
有名なデザイナーブランドといえば、デザイナーのフルネームを使ったものが多く思い浮かぶだろう。しかし本来、人のフルネームは、同姓同名の人の人格権を保護する観点から商標登録ができない。
日本人の場合は、戸籍上や住民票の漢字表記だけでなく、ローマ字表記も含まれる。知名度の高い人物であっても、他に同姓同名の人物がいた場合は不可。従来から法律で定義されていたが、数年前から特許庁の審査が厳しくなっている。実例では、ローマ字表記の場合、姓と名の間にスペースを入れないことで切れ目をあいまいにし、人名を想起させない名称であれば登録できる場合もあった。