《ニュースの顔》東レ社長に就任する大矢光雄さん

2023/03/29 06:25 更新


大矢光雄氏

 昨年末に日覺昭廣社長から打診があった際は一度は返事を保留したが、「自分の繊維の経験を生かせば、当社の事業は飛躍的に拡大できる」と前向きに受け止めた。特に、繊維中心にグローバル拠点を結びつけて客に価値を提供する「営業のオペレーション力が当社のコアバリューの一つ」とし、営業力強化による収益拡大を目指す。

 66歳での社長就任は同業他社と比べて若くはない。日覺社長は「若返りも重要で幹部育成を進めている。一方で今の厳しい環境を考えると、知識・経験・実力・人望のある人に引き継ぐのがいい」と判断した。大矢さんも「健康であれば年齢はハンディにならない」と話す。

 大矢さんの人物評は「東レの屋台骨を支える繊維の営業を長年引っ張ってきた。(①素材軸②糸わた・テキスタイル・縫製品の商品軸③グローバルサプライチェーンの)繊維の3次元経営を確立し、営業人材も育っている」(日覺社長)。同時に「東レの社会での認知や市場での評価は必ずしも高くなかったが、大矢さんには東レブランドを高めてもらいたい」と期待する。

日覺昭廣次期会長と二人三脚で臨む

 出身の繊維について大矢さんは、3次元のサプライチェーンの延伸、特品商材、グローバルの組み合わせにより、「〝面〟ではなく〝体積〟をどう増やすかがポイント」。特に市場が拡大するインドや中国市場の高度化を商機と捉える。

 また、バリューチェーンにおける収益の取り組み、コロナ禍で打撃を受けたコモディティー分野のリエンジニアリングと意識改革で収益向上を目指す。

 趣味は健康維持のために続けるゴルフと散歩。ここ10年ほどは吉田松陰の「夢無き者に成功なし」を座右の銘とし、企業理念の実現と重ね合わせる。

(恵)



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