サマンサタバサJL 寺田和正社長「楽しい会社へ」

2017/03/02 15:11 更新


 昨年、アパレル部門を整理するなど厳しい業績だったことも踏まえて、今年はファッションを楽しむ、仕事を楽しむという原点に立ち返る。

 日本発の世界ブランドを目指し、楽しさの提案に一段と力を入れる。そのため、全社の思いを共有することを重点に据えた。

“ファッションを楽しもうという原点を重視する”

■現場と直結し原点回帰

 ――昨年を振り返ると。

 なかなか難しかった。僕がクリエーションを中心に見て、他の役員が分担して経営を見ていたんですが、うまくいかないので15年に体制を変えて、僕がすべてに携わる形にしました。いわゆる文鎮型の体制にしたんです。

しかし、体制は変えたものの、大事なものがなおざりにされていることが分かってきました。全社で共有すべきものを共有できていない。やはり、やりがいのある仕事をする。楽しいことをやろう、ブランドを作っていこう、そういう思いを共有することが大事です。

 ――今年のテーマは。

原点回帰ですね。当社の原点を共有しようということです。僕がすべてを見る形にしましたから、僕が現場と直接向き合って全社に伝えていきたいと思います。部長に任せっぱなしにせず、原点を共有することを自分の仕事として力を入れたいですね。

――昨年は多様な仕掛けをした。

 伊勢丹新宿本店で(大掛かりなキャンペーンを打って)世界ブランドへ向けたブランディングに取り組みましたし、一方、表参道の店で(期間限定の体験型スイーツショップの)「ボンボンボヤージュ」をオープンするなど楽しさを伝えることに力を入れました。広島カープとの協業店もやりましたが、予想以上の売れ行きでした。こちらが楽しさを提案したら広島ファンをはじめ多くの方に好評をいただけた。今年はさらにフルスロットルで進めたいと思います。同様の取り組みを予定していますが、特にファッションを楽しもうという「サマンサタバサ」の原点を重視していきたいと考えています。

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サマンサタバサジャパンリミテッド 寺田和正社長

“日本一楽しい会社に”

■わくわく感のある職場に

 ――ほかには。

 これらの課題に合わせて、原点回帰のため、さらに日本一楽しい会社にするためにも、春には本社を移転したいと思っています。現在の本社が手狭になっていることもありますが、引っ越しを、楽しい会社を作る契機にします。訪れて楽しさを感じる会社にしたいですね。わくわく感、どきどき感が感じられる職場を目指します。

 そうした思いは創業から3回目です。4人で会社を作ったときはこういう会社を作りたいという強い気持ちがあってわくわく感が強かった。

 次は、(創業後、しばらくして)会社が非常に厳しくなった時期。一体何をやっているんだろう、最初の思いとは違う会社になっているのではないかと思い、気持ちを新たにして会社の再生に取り組んだときです。

 今回が3回目。やはり楽しい会社にしたいんです。ところが実際は作業や数字に追われる状態が続いている。実務に追われて自由な発想ができなければ楽しいファッションは提案できないと思うんですよ。ファッションを提案する会社にするために僕がすべてを見ますし、その方向で今年ははっきり組織体制を固めます。

――ECについては。

 ECをはじめデジタルを活用する仕組みは、当社は不十分でまだまだだと思います。そこで今年はデジタル元年と位置づけました。本気で執着心をもって取り組みます。外部からデジタルにたけているスタッフを入れ、体制を整えた上で拡充していきます。

■サマンサタバサジャパンリミテッドの過去5年間の業績と16年度予想

サマンサタバサジャパンリミテッドの過去5年間の業績と16年度予想



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