東京ブランド19SS レイヤード、量感のバランスが新鮮

2018/11/19 06:29 更新


 レディスのデザイナーブランドの19年春夏は、レイヤードや量感のバランスで新鮮さを出さす傾向が見られる。単品のアイテムは特別新しいものではないが、異なる素材の組み合わせや丈の変化によって新しいスタイルを提案している。

(須田渉美)

透け感を生かす

 特徴の一つは、透ける素材を生かしたレイヤードだ。ニットウェア「ババコ」(白石陽子)は、人気のインナーウェアにとどまらず、ポップでクリーンなアウターウェアへと魅力を広げた。今シーズンは、ポピーをテーマに陽気なムードでふわっとした可愛らしさを備えた女性像を表現した。

 先染めのチェックの五分袖ジャージーは、コットン糸を1本取りして二重編みしたニットを使い、斜行した組織が体にフィットして袖口をキュートに見せる。モダンな印象を引き立てるのは、ピンタック編みしたプリーツ状の膝下丈スカート。透け感と適度なハリがあり、軽やかに揺れる。裾が若干フレアになったクロップトのレギンスとのレイヤードが、ハッピーなムード。

ババコ

 ドレスの着こなしを新しい感覚で見せるのは「ワイエムウォルツ」(馬渕明恵)。春夏のテーマはインサイド&アウトサイド。夜を構成する月の光と影のように、相対する要素を反映させて奥行きのあるスタイルに仕上げた。キャミソールドレスは、毛足の柔らかいカットジャカードにシャープな先染めストライプを切り替えた。背中には2カ所にリボンが付き、透け感のあるカットジャカードのロング丈シャツを上に重ねて、柔らかい日差しを感じさせるスタイリングを見せた。

 ヨーク飾りのシャツは左サイドの半分を切り替えてドレープを作り、マスキュリンとフェミニンのコントラストを作る。同様に細身のメンズパターンでシャツコートを作るなど、男性っぽさと女性らしさを同居させて、着用する人の個性とエレガンスを引き立てる。

ワイエムウォルツ

 「ロキト」(木村晶彦)は、細やかなレースをオリジナルで作り、透明感のあるレイヤードスタイルを見せた。線画のようなフラワーモチーフのレースシャツやドレスを、キャミソールやキャミソールドレスに重ねてモノトーンの配色で素肌を引き立てる。襟元はウェスタンシャツのディテールを取り入れたスタンドカラーにするなど、マニッシュな要素を加えて甘さを抑えている。テーラードコートも、線の細いレースが軽やかさを強調する。

ロキト

大きめでもきちんと

 メンズアイテムの応用など大きめのサイズ感を取り入れた着こなしは継続している。ただ、ボリュームは抑えられ、きちんとした見え方に変わってきた。

 ワイドなボトムのバリエーションを充実させたのは「フィラルフレア」(金丸一志)。光沢と落ち感のあるレーヨン・リネンの生地を使い、量感や丈の異なるパンツとスカートを揃えた。グラフィカルなプリントのウェアとともに、シャープなエレガンスを表現している。サスペンダー付きのハイウエストパンツはサイドをポリエステルタフタで切り替え、スポーティーな印象に。足首丈のパンツは裾をダブル仕上げにして、直線のラインをきれいに見せる。肌触りの心地良い「テンセル」のポプリンを使ったシャツワンピースは、肩にギャザーを寄せたパフスリーブ、ドレープの利いた裾のラインなど、ゆったりした形だが、きりっとしたパンツラインでアーバンストリートへと進化させている。

フィラルフレア

 「チノ」(茅野誉之)は、ミリタリーの制服をベースにレディーライクなウェアを揃えた。イメージソースは、1898年から1973年までの米国人女性の制服を紹介する『ドレスド・フォー・デューティ』という本。無駄の無い機能的な作りを崩してタックを入れてドレープ感を出したり、大きめのポケットを取り入れたりすることで多彩なシルエットを作る。肩章の付いたワークシャツはベルトのような切り替えを入れ、ウエストをシェイプしたラインを強調する。オーバーサイズのシャツは、先染めのチェックに縦のラインをプリントして大人っぽいシャープな表情を引き出した。 

チノ

 「シアタープロダクツ」(武内昭、森田美和)は、日常生活の中から自分たちが好きなものを切り取り、異なる要素を掛け合わせ、ユニークなスタイルに仕上げた。キーカラーは「マヨネーズ色」。モーターサイクルコートには、イタリア製の高級テキスタイル「ラルスミアーニ」のコットン生地を使って品のある印象に仕上げる。下に合わせるのは、玄関のラグをイメージしたリブニットのロングスカート。エレガンスを備えつつ、大人の遊びを感じさせてリラックスした着こなしを見せた。

シアタープロダクツ


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