海外卸先を拡げる東京ブランド

2015/04/14 06:06 更新


 東京のレディスデザイナーブランドで、欧米に卸し先を拡げるところが増えてきた。円安という追い風もあるが、日本らしい感性や繊細さ、真面目さを突き詰めたもの作りが支持されている。先行するのは、今やパリ・コレクションの中核となり、米国に現地法人、ベルギーに物流拠点を持つビジネス段階に入った「サカイ」。次のサカイをめざして、各ブランドとも模索しながら前進している。

◆第一段階はクリア、その先へ

 フレンズのレディスウエア「ミュベール」(中山路子)は、パリのコレットやミラノのエクセルシオール、シカゴのイクラムなど約20店と取り引きがある。年間の海外売り上げは小売り金額で約1.2億円を見込み、売り上げ全体の1割強を占める。

 パリで展示会を始めたのが12年9月。ここ数シーズンは、取引先軒数の伸びはやや鈍っている。「軒数や売り上げ金額は一定の規模になってきたので、ここから先をどうするか考える段階にきている」と川守英昭フレンズ社長。「セールスに関して新しいアクションをしていない」ことが足踏み状態の要因と見て、「今期は新たな動きを起こす準備をしている」。

 この間、パリのプレスオフィスと契約し、現地にサンプルを置くようにしたことも卸先拡大策の一つ。媒体への露出が増え、新規店舗からの問い合わせが増えているという。コレクションの内容が、ここ数シーズンでより大人っぽく進化していることも海外での販売を後押しする。ブランドらしい可愛らしさは残しつつ、毒っ気やエキセントリックな強さ、エレガンスの要素が濃くなった。

 川守社長が「いま海外で売っていくための大きなポイント」と指摘するのが、チームの力だ。商品そのものの魅力は前提条件として、外部の営業やPRとどう取り組むかというのが、ビジネス拡大のための重要なカギになっている。サカイも、セールスのイーストランドや米のショールーム、ザ・ニュースと組んでブランドを拡げていった経緯がある。ミュベールも、今後営業強化については考えていくという。

15~16年秋冬はレトロフューチャーのムード。ビジュー装飾などの人気要素は継続しつつ、丈感やフォルムなどがシックになっている。プリーツ柄プリントのドレス5万6000円(本体)、ビジュータイツ5万8000円、リボンパンプス2万8000円
15~16年秋冬はレトロフューチャーのムード。ビジュー装飾などの人気要素は継続しつつ、丈感やフォルムなどがシックになっている。プリーツ柄プリントのドレス5万6000円(本体)、ビジュータイツ5万8000円、リボンパンプス2万8000円

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