東京ブランドの24年プレフォールと秋冬コレクションは、マスキュリンムードのなかで、大人の色気を感じさせる着こなしが広がっている。トラッド、ミリタリー、ワークウェアといった男性的なワードローブをベースとしながら、女性らしい体の線を強調したデザインが目立っている。気候の変動を配慮して、重ね着しやすいライトウェートの素材を使った中間着の提案が増えた。
(須田渉美)
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柔らかなカーブ
特徴の一つは、柔らかにカーブしたシルエットだ。
プレフォールを発表した「アキラナカ」(ナカアキラ)は、19世紀後半に絵画の変革を起こした印象派に着目。習作に未完の美を見いだす視点を服の制作過程に重ね合わせた。エポーレットを残したトレンチコート型のドレスやシャツは、台襟とクルーネック風のネックラインを組み合わせて程良い抜け感を出す。試作のようなディテールとドレープで、女性らしい体の線や魅力を引き出していく。テーラードジャケットから派生したコートは、ショルダーラインを落として立体的な丸みを出し、デコルテをすっきり見せる。完成しきらないバランスでエレガンスを強調した。
「イン」(印致聖)は、春夏に続いて自然現象のハロクラインがテーマ。境界線のあいまいな柄や柔らかな曲線をアクセントにした。ラウンドスリーブのピーコートは、裾にダーツを入れたコクーンシルエットで女性らしい印象を作る。同様にラウンドスリーブのボレロ風のアウターは、マスキュリンな強さとともに、重ね着をきりりと見せるアクセサリー感覚で使えそうだ。テーラードアイテムも緩やかな曲線がポイント。ウエストをシェイプしたノースリーブトップは、背中のファスナーがスリットのように開く。フレアラインのトラウザーとのセットアップを、動きのあるシルエットで多彩に見せた。
「エムティーモデリスト」はかつて戦地を慰問した女優を発想源に、エレガンスとミリタリーを融合して、大人の色気を表現した。ピーコートは、きれいな丸みを出したショルダーライン。パンツは、くびれたウエストとヒップラインに沿ったカットで女性らしさを強調する。フェミニンなフレアシルエットのドレスは、コートの仕様でアクティブに見せた。