東京ブランドの23年秋冬は、様々な要素をミックスして新しい服の形を作り上げるクリエイションが広がった。マスキュリンやクラシックのスタイルをベースとしながら、コントラストやカットの変化で現代的な女性像を描く。見た目の美しさだけでなく、負荷の少ない物作りを考える傾向も目立ってきた。
(須田渉美)
「テルマ」(中島輝道)は、「ポートレイトオブザナイト」をテーマに、夜に浮かび上がる鮮やかな光の景色を、強みのテーラードスタイルに落とし込んだ。一つは東京の夜景を撮影したプリント柄。ドレスのような仕立てのトレンチコートには、六本木の夜景が映し出され、ストリートムードの中わたコートの袖には渋谷のスクランブル交差点のネオンが光る。アイテムの特性と都市の印象を合わせ、エレガントでリアリティーのある装いに仕上げた。