職場や学校で性別を問わず使用できるジェンダーレストイレの設置が増えている。ダイバーシティー(多様性)やインクルージョン(包括性)の推進を求められる大企業だけでなく、中小企業も取り入れ始めた。一方で、慎重な当事者もいる。希望するトイレのあり方は一人ひとり異なり、様々だ。
(小坂麻里子)
性的マイノリティーの人の中でも、出生時の肉体の性と自己の認識する性が異なるトランスジェンダーは、性別移行前や移行中など、その人の状況によって困難に直面する場面が多いという。
全ての人を対象
トイレを利用する際は、周囲の視線が気になるなど、ストレスを感じることがある。タレントとして活動する竹紫春翔さんは、体は女性で自己認識する性は男性のトランスジェンダー。「男性用トイレにサニタリーボックスがないなど、困ることがある」という。トイレが使えない、使いにくいため、「水分を控えたり家まで我慢する場合もある」と話す。
学校や職場のトイレは顔見知りの同級生や上司、同僚も利用するため、公共のトイレ以上にデリケートな課題だ。
帝人は、ダイバーシティー&インクルージョン推進の一環で、国内全ての製造関係の事業所にジェンダーレスのユニバーサルトイレを設置した。当事者の心理的安全性を守り、働きやすい職場作りを推進しており、21年度末に各事業所の改修が完了した。車椅子でも使いやすように、入り口と内部を広く設計している。