ファッション&シュガーの街になってしまった。
パリ3区、4区辺りを適当に指す「マレ」のことを言ってるんですけどね。
日常に必要な商店はファッションブティックとお菓子屋(ショコラにマカロン、ガトーにアイスクリーム)に姿を変え、おまけにラグジュアリーメゾンまで並んでしまった。
特に4区辺りはゲイのコミュニティーがあって、ユダヤ人街があって、それがパリジャンにとってのマレなんだけどな。地元からの反発もあり、区役所はマレ変貌ストップに動き始めた。
工事のため閉店していた「カール・ラガーフェルド」のウィンドーもゲリラされた
欲しいものが何でも揃っているマレの「集客力」。
日曜日営業許可ゾーンのマレに集まる溢れるほどのショッピング客にツーリスト。しかもファッションウィークには業界人もここにマーケティングや、飲食しに来るものね。
マレに出店しようじゃないの!、とブランド経営者さんたちは思うでしょ。
出来立ての仏ブランドを集めたザ・ローリング・ショップ開店告知ポスター
ところがその前に、出店より全然コストがかからず、リスクの少ない戦略があった。
「ウチのブランド」知ってもらうには絶好の場所。ウチのポスターを壁に貼っちゃえ!とばかりに勝手に掲示板にされてしまった壁が、la rue Vieille du Temple に広がっている。
貼紙行為は罰金モノだが、この違反行為は放置され、その代わりパリ清掃局がジェット水噴射でポスターを剝がしている。
貼紙地獄化のため、鍵付き扉が設置された
でも壁清掃部隊は忘れた頃にやってくる。それまでは、ポスターにポスターを重ねて貼るマレ・ウォールウォーズ。仁義なき壁戦が続く。
パリファッションウィーク、この2シーズンは、Maison KITSUNE と Acne Studio が優勢な展開を見せていた。
「よく貼れました」賞
このシューズを履けば高所貼りも可能ってことか
もうそろそろメンズウィークとオートクチュールウィークが続けてやってくる。どのブランドがキャットウォールを楽しませてくれるのか?(もちろん大きな声では言えないが)マレの勝手に掲示板を利用しない手はないかも。とつい思ってしまう。ホントはイケない発想なのだけど。
もうすぐメンズコレクション。メンズウォールストリートになってきたマレの通り
松井孝予
(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。