大阪に森ノ宮という場所があります。
大阪城や難波の宮跡にほど近く、歴史を感じられるところ。個人商店がぽつぽつある住宅地で、大きな商業施設はなかった。ここに4月末、東急不動産が「もりのみやキューズモールベース」というSCをつくりました。
昔、プロ野球の試合が開かれた日生球場の跡地を開発したもので、そのネーミング、外観にかつてのスタジアムを感じさせるものがあります。
一番の話題は、日本初“走れるトラック”付き。「エアトラック」という名称で、1周300メートルの人工芝が3レーン並びます。朝9時から夜11時半まで、だれでも無料では入れます。
屋上にあるので空を感じ、大阪城を見ながらランニングができる。
これを監修したのが元陸上短距離のオリンピック選手、朝原宣治さん（写真下）。他にも、ボルダリング、フッィトネス、フットサルコートなどスポーツ関連施設はいろいろあります。
日本のSCは郊外の大規模モール型、大都市の駅ビル･ファッションビルが主流です。
もりのみやは、どちらでもない。店舗数は49しかなく、しかも物販比率は40％と通常の半分。地元の人を中心にリピート客になってもらい、長く滞在してもらうことを想定しているようです。
ボルダリングウォール
もう一つの特徴は立地。地下鉄・JRの駅から近く、自転車での来場も多い。最近は都心にタワーマンションが増え、車を持たない若い人も増えています。こうした人たちのニーズに対応する新しいテーマ型SCと見ることができます。
古川富雄 大阪支社編集部長が、関西のファッションビジネス情報の周辺、裏を紹介
