あえて東京には出ません(古川富雄)

2014/01/29 12:00 更新


関西では誰でも知っている、難波551の「蓬莱」。豚まんをはじめ愛される商品がたくさんあります。出店戦力には独特のものがあります。大阪中心に関西の主な駅、空港、百貨店、SCには必ず入っています。レストラン形式からテイクアウト専門の小型店まであります。ともかく、どこに行っても、あの赤い看板があります。



 

 もうひとつの特徴は、あのテレビCM。つるつる頭のおじさん(実は常務の田中さん)なるみちゃん(元漫才師)の掛け合いで、「ある時ー」(豚まんがあればみんな大喜び)「ない時―」(なければどよーん)という単純明快なCMです。


 

で、戻って出店の話です。蓬莱の店は実は関西にしかありません。西は兵庫県、東は滋賀県まで。ですから、東京の人に「難波551」といってもたいてい通じません。これだけの著名店ですから、出店依頼は当然全国から来ます。首都圏という最大市場は魅力でしょう。それでもきっぱりと断るそうです。東京に出るのは、期間限定のポップアップショップのみ。あえて、関西から出ないことで、大阪名物の存在価値を守り、地元で愛され、他地域の人にとっては知る人ぞ知るという存在でいる。

あのCMも当然、関西限定です。先日、ある催しで蓬莱のあのおじさん(田中常務)とご一緒しました。この人が行くところ、人の輪ができ、握手、撮影を求められ、みんな笑顔になります。ローカリズムに徹することで生まれる強烈な存在感、競争力をもつブランド、企業が我々の業界にあっても、いいのではと思います。

 

田中常務(右)と筆者



古川富雄 大阪支社編集部長が、関西のファッションビジネス情報の周辺、裏を紹介



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