医療機器は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づいて、規制されているものだ。リカバリーウェアという名称が一般化しつつある「家庭用遠赤外線血行促進用衣」(血行促進用衣)も医療機器で、一般医療機器(クラス1)のカテゴリーの一つ。衣類でありながら医療機器は「病気の診断、治療、予防に使われるもの」(厚生労働省)である以上、製造・販売事業者は法令を順守し、品質の安全性が担保された製品を提供する責務がある。リカバリーウェアの主要企業であるテンシャル(東京)に、医療機器の製造販売業者に求められる心構えや取り組みを聞いた。
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医療機器製造販売業許可が転機に
「バクネ」シリーズで知られるテンシャル。18年創業の同社が21年に本格販売した同シリーズの累計販売数は、昨年末時点で100万セット(トップとボトムで1セット換算)を超えた。2月には東京証券取引所グロース市場に新規上場して話題となった。10月に公開した上場後初の決算(25年8月期=4カ月の変則決算)では株式市場に高い成長性を示し、来期も2ケタの増収増益を計画している。
委託から内製化
収益の源泉はバクネ。「体のコンディションを整える」というコンディショニングブランド「テンシャル」の主力シリーズだ。血行促進用衣のリカバリーウェアを主軸にインソール、サンダル、寝具、入浴剤など幅広いラインナップが揃う。
中西裕太郎社長は創業当初から「単なるアパレルの会社ではない」とし、「ヘルスケアの会社になる」と宣言してきた。重要な転機となったのが、24年9月に発表した第二種医療機器製造販売業許可の取得だった。
