帝人フロンティアとファイバーシーディーエム 廃棄衣料の再生システム構築に着手

2022/08/19 06:28 更新


ファイバーシーディーエムの工場内観。中古衣料品の回収、選別、出荷を一貫して担う

 帝人フロンティアは8月18日、中古衣料品のリユース、リサイクル事業を行うファイバーシーディーエム(大阪府泉南市)と共同で廃棄衣料品のリサイクルシステムの構築に向けた取り組みを始めると発表した。

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 今秋からファイバーシーディーエムが小売店などに中古衣料品の回収ボックスを提供し、回収プロジェクトを始める予定。25年までに廃棄衣料品の選別と、廃棄衣料品から再生ポリエステル原料の生産技術を確立する計画だ。将来的にはナイロン、綿、ウールなど他素材が使われた廃棄衣料品にも対応できるようにする考え。「この取り組みを足がかりに、カーボンニュートラルに向けた衣料品のサーキュラーシステムの構築と廃棄衣料品ゼロの実現を目指す」という。

取り組みイメージ図(帝人フロンティア×ファイバーシーディーエム)

 ファイバーシーディーエムは契約する小売店の店頭および自治体、企業から中古衣料品を回収する。リユース、リサイクルできない物を選別し、さらにポリエステルを使っている物の効率的な選別方法を開発、検証する。帝人フロンティアはファイバーシーディーエムが選別したポリエステル使用の中古衣料品からリサイクル原料を生産し、原糸、原綿の品質を評価する。

 ファイバーシーディーエムは中古衣料品の受け入れから選別、出荷まで一貫して担う工場を大阪府泉南市に保有。年間で約2億着(約5万トン)の中古衣料品を扱う。国内では中古衣料品の小売店運営、海外向けに中古衣料品の販売事業、ウエス(工業用雑巾)の販売、自動車内装材などに利用される反毛原料の供給といった中古衣料品の再利用事業も行っている。ただし、「培った選別技術、知見を駆使しても一部は廃棄せざるを得なかった」として、廃棄衣料品の削減が課題だった。

 帝人フロンティアは95年から再生ポリエステル繊維「エコペット」を販売するなど、ポリエスエルのリサイクル技術を長年磨いてきた。とはいえ、様々な素材が混ざり合い、染料などの異物も含まれる廃棄衣料品から高品質な再生ポリエステル原料を作るには、回収、選別の効率的な仕組み作りが課題だった。



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