【パリ=松井孝予通信員】もしフランスの詩歌に季語があったなら、「ポワソン/魚」が春の詩の一つにふさわしい。「水を得たような魚のよう」というテーマで、パリ左岸の百貨店ル・ボン・マルシェの春のイベントが大盛況だ。
メインが、チームラボによる「お絵かき水族館/スケッチアクアリウム」。みんなが紙に描いた魚たちが、本館3階に開設された250平方メートルのバーチャル水槽に放たれ、生き生きと泳いでいる。カラフルなクレヨンで海の仲間の創造に夢中になっているのは、子供たちだけでなく、むしろ大人たち。サラ・アンデルマン作ブルーの「フグ」、ジェローム・ドレフュス作バッグのような「クラゲ」、メゾン「ケンゾー」の赤い魚をはじめデザイナーやセレブらによるゲストポワソンもこの中に共存している。
同店がチームラボをゲストにしたきっかけは、18年にパリで開かれた日仏友好160周年記念行事のプレ開幕を飾ったデジタルアート。会場となったラ・ヴィレットの来場者記録を更新する大ヒットとなった。予約もチケットも不要、誰もが楽しめる水族館。早くも来店者数が気になる。4月23日まで。