【思いや環境はどうですか?】田原屋バイヤー 杉田諭史さん 経験を生かし次のステップへ

2024/12/12 00:00 更新


「バイヤーの裁量が大きく、やりがいがある」という杉田さん

 企業の成長や活力には人材は欠かせない。新入社員や中途採用社員がいきいきと活躍できる環境は、人を育て戦力になっていく。企業が新しく迎えた人材に現状を聞いた。

コミュニケーション力も武器に

 総合衣料チェーン専門店の田原屋(神奈川県川崎市)に中途入社した杉田諭史さん(商品部ボトム&スポーツグループバイヤー)。バイヤー志望で、「自分の力がどこまで通用し、次のステップにいけるか」が一番大きな動機だ。入社後は、早い段階から会社の期待に応え、活躍している。転職経験から、「コミュニケーション能力が付いている」ことも武器になっている。

新しいことに挑戦

 卸企業、前職の紳士服メインの小売り企業のバイヤーを経て、21年5月に入社。基本、仕入れ担当がメインで一貫してレディス畑で経験を積み、田原屋は3社目となる。

 総合衣料チェーンは初めてで、100店以上の企業も初めて。「自分の知らない世界があり、新しいことにチャレンジできることはスキルアップにもつながる」と転職を決めた。就活時はコロナ禍で、業界全体的に募集が少ない時期。田原屋も様子を見ながらの採用活動だったが、「必要な人材は新卒でも中途でも採用する方針」(人事)で、取り組んでいた。

 中途採用は企業にとっては即戦力。だが、同社は中途採用でも新卒でも、初めは必ず店舗の現場に配属される。杉田さんは、取り扱いアイテムやシステムなど店長研修後に、「パシオス」府中浅間町店(東京)の店長に就任し、本部の商品部配属まで約1年間現場を経験した。「商品部は店舗応援など、現場との一体感が大事。色々な経験ができ、楽しかった」と振り返る。店の運営経験のほか、「私より経験豊富や年上のスタッフも多く、コミュニケーションを大事にした」という。

 22年7月から、本部に配属。初めはミセスのボトムと婦人服が担当。婦人服ではPBの一つで、都会的なきれいめファッション「フォブル」を任される。「入ってすぐに、一つのブランドを任せてもらえるのは光栄でした」と、これまでと扱うアイテムは違ったが、「戸惑いはなく、良し、やろう」と前向きな姿勢で取り組んでいった。今年7月には、婦人服担当を離れ、ミセスボトムはそのままレディスボトム全般の担当に変わった。

ワクワクする売り場を

 杉田さんは「中途入社なので、企業に何か新しいことを取り入れたい」と常に考えている。積極的に行っているのが、新規取引先開拓で、これまでにない商品を導入し、売り場の鮮度を上げて、売り上げにもつなげたいと思っている。これまでに知っていたや市場調査からメーカーにアプローチし商談、婦人服で3社ほど、ボトムでも新規を増やしている。

 「風通しが良い雰囲気」という杉田さん。転職は新しい環境に「ポン」と入っていく。周りは初め壁を作りがちで、どう打ち解けていくかが大事になるという。仕事に関係ない話もできる限りよく会話するようにしている。新卒は田原屋しか知らないが、変に押し付けるのではなく、発注システムや仕事内容など「他社はどうなの」などと聞かれ、「そっちの方が良いね」と、会社に提案を上げてもらうケースも。新卒や中途採用、パートなど様々な人が働く田原屋。「一緒に頑張ろう」との雰囲気がある。

 杉田さんは入社から短期間で、店長やバイヤーに担当が変わっている。「同じ部署で長く勤務することは、居心地が良い。しかし、会社としては色々な経験を積んで、違った視点で物事が考えられる人材が重要」(人事)で、「ポジティブに考える」杉田さんも、多様な経験を望んでいる。ボトム全般の全社の売り上げは大きく、「売り上げを落とすわけにはいかない」と、品揃えやMD構築に注力し「ワクワクできる売り場」を目指している。お客から「面白い。楽しい」と思われ、次の来店につなげていく。新しい職場で、「品揃えのプロになり、新規客やファンを自分の商品で増やせるか」を大きな目標に、スキルも生かしながら使命と期待に応えている。

10月にオープンした「パシオス」コーナン足立扇店

(繊研新聞本紙24年12月12日付)

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