繊維製品企画卸の谷健(名古屋、谷佳津臣社長)は自社ブランド「オソク」で、編み、染色、縫製の全てを名古屋市内で手掛ける「100%名古屋産」のカットソー製品を発売した。
同ブランドは「長く続く地域の技法を生かした物作り」を追求し、18年にスタートした。「日本にはユニークな物作りがたくさんある。受け継がれてきているものはみな背景があり、文化としてのストーリーを持っている」との思いのもと、生産背景の透明化にこだわる。ファッション性以上に、生産背景を重視して服を選ぶ消費者を取り込むほか、作り手にも無理のない納期、生産量の設定で、「作り手と使い手が無理なく持続的に関われる社会の実現」を目指している。
これまでは愛知県知多市で織られた知多木綿の生地を使い、有松・鳴海の絞りや名古屋黒紋付染めでの加工、有松の自社工場で縫製したシャツやバルーンパンツなど布帛製品を生産してきた。
「より気軽に着られるものを」と24年10月にカットソー事業部を立ち上げた。より近い範囲での生産にこだわり、名古屋市西区にある丸安ニット、山勝染工に依頼し、完全名古屋産のTシャツに仕上げた。近くに住む人に知ってもらい、「愛着の湧くものを届けられたら」と話す。
丸安ニットで定番の綿100%天じくを採用した。カラーは白、ネイビー、グレー、グリーン(税込み7700円)のほか、山勝染工の「名古屋黒紋付染」(9900円)の5色で、サイズはM、L、ビッグサイズがある。
今後、同ブランドのシャツ製作時に出た端切れを胸元に縫い付けるなど、オソクらしい価値を足していく方針だ。インスタグラムやLINEでの発信を始め、意見を取り入れブラッシュアップする。