【台南=松本寧音】23年秋冬台北ファッションウィークが3月22日開幕した。主催は台湾文化部で、コンデナスト・タイワンのプロデュース。開幕ショーの会場は、台南の寺院、南鯤鯓代天府。台湾の「伝統芸能・伝統工芸×ファッション」をテーマに、デザイナーと伝統芸術の職人による協業作品をそれぞれ10体見せた。
伝統的な獅子舞に始まり、オーダーメイドブランドの「ボッブジェン」と民族芸能演舞「八家将」のパフォーマンスグループ「呉敬堂芸陣社」、異素材の組み合わせが得意な「ウェイズーユェン」と「中国結びアート」の陳夏生さん、東京コレクションにも参加経験がある「シージン」と台湾の人間国宝で100歳の漆職人の王清霜さんなど、七つのチームが登場。伝統芸術を色やプリント、ディテールで表現しつつ、モダンに仕上げたスーツやドレス、秋冬らしいコートなどが揃った。
目を引いたのは、「今、台湾で一番人気」と名高い「ジャスティンXX」だ。寺院や建築の外壁絵を手掛ける画家の荘武男(チュアン・ウーナン)さんと協業し、絵を全面に使ったパディングのセーラーカラーのコートや愛と夢をテーマに一からフォントにこだわった文字入りのネクタイなどを見せた。
同ブランドは東洋のアートを取り入れたストリートスタイルを得意とし、今回もキャップや分厚いソールを重ねた「コンバース」のスニーカーがアクセント。伝統的な要素と今っぽいアイテムをミックスし、リアルに見せるバランスが秀逸だった。
デザイナーのジャスティンこと周裕穎(ジョー・ユーイン)さんは、「寺が近くにあるような田舎で育ったので、ストリートと伝統芸術の融合に興味があった。一人の中学生が寺院にお参りへ行き、取りつかれたというストーリーがコンセプト。制服やジャージーなど学校のものをモチーフにした」と話す。
7ブランドの発表後、ピアノとバイオリンの生演奏と6分間の大規模な花火の打ち上げで幕を閉じた。
史哲文化大臣は「100年以上受け継がれてきた台湾の伝統芸術と文化を現代のファッションと融合させ、台湾の文化コンテンツを世界に発信できた。台湾のデザイナーの服が一般大衆の生活圏に浸透していくことを期待している」と話した。
24日からは公式会場の台北市信義区の松山文創園区で注目ブランドのショーを行う。