合繊メーカーのスポーツ機能素材 強みを磨きグローバルで訴求

2023/12/19 13:00 更新有料会員限定


 国内合繊メーカーは、差別化原糸や高機能テキスタイルの強みを磨く。サステイナブル(持続可能な)は前提となっており、リサイクルやバイオベースの合繊、非フッ素撥水(はっすい)などに機能や感性をミックスする。またスポーツとファッションの垣根が低くなっており、アスレチック分野のパフォーマンス向上につながる機能性が、街中での快適性にも貢献する。各社はISPOミュンヘンへの出展を通じ、グローバルな素材プロモーションに力を入れている。

【関連記事】《24年秋冬合繊スポーツ素材㊦》新素材の開発や機能性の向上も

東レ 暑熱対策に注目

 東レは吸水速乾による汗処理、遮熱・防透け、高通気といった機能素材を進化させ、アスレチックから街着まで幅広く提案する。グローバル市場に向けては、防水透湿「ダーミザクス」、毛抜けしにくい起毛素材「カルイシ」の二つを軸にブランディングを強める。

 23年夏の猛暑が話題となったが、改めて暑熱対策素材が注目されている。「フィールドセンサー秒乾」は吸水速乾の頂点素材。シングルニットながら特殊構造によって汗を表側に拡散・乾燥させ、肌側をドライで快適に保つ。スポーツ用途以外に、ハイゲージニットでビジネスシャツ向けに関心を集めるなど着用シーンも広がっている。

吸水速乾による汗処理性を追求した「フィールドセンサー秒乾」

 遮熱・遮光や防透け性を追求した「ボディシェルEX」も猛暑で注目が高まっている。3層構造にバージョンアップし、酸化チタンの含有量の多い超フルダルポリマーを2層目に配置、最外層と芯は酸化チタンを含まないリサイクルポリエステルで、糸のリサイクル率を76%にまで高めた。ゴルフウェアやカジュアル用途で採用が進む。

 高通気織物「ドットエア」は、格子状の通気孔によって蒸れや暑さを軽減する。わかりやすいネーミングもあって指名買いされる人気素材だ。メッシュ調の定番タイプだけでなく、穴が目立たない物やストレッチの伸長時に通気する物などバリエーションを広げ、レディスでも採用される。

 秋冬はダーミザクスとカルイシが柱で、ISPOでも両ブランドを大々的にアピールした。ダーミザクスは3カテゴリーに分け、防水透湿膜も進化させる。高耐水圧から高通気タイプまで、ニーズに応える。カルイシは片面起毛のニットで、特殊編み構造で毛抜けを抑える。肉厚ながら従来のフリースの半分程度の軽さが出せ、緻密(ちみつ)な表面と起毛面のダブルフェイスも受けている。

国内外で「ダーミザクス」のブランディングを強化する

帝人フロンティア 25年に向け二つの新商材

この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約いただくと続きを読むことができます。

すべての記事が読み放題の「繊研電子版」
単体プランならご契約当月末まで無料!

今すぐ登録する

今すぐ登録する

会員の方はこちらからログイン

関連キーワード電子版購読者限定



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事