これまでの連載を読み、店舗でのテクノロジー活用に興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。今回は、あえて失敗例を取り上げることにします。そもそもスマートフォンが大半の消費者に普及し、実生活の様々なシーンに浸透して使われるようになると、紹介してきた機能は特別なものではなく、標準的な機能になります。古典的な店舗ビジネスやECでも、成功もあれば失敗もある。新たな取り組みでも同様です。失敗例を通して、各企業の学びとして生かしていただければ幸いです。
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下火の無人店舗
スマートフォンで店頭の商品が見られるのであれば、チェックアウトも自動化できないか。そこで現れたのが無人店舗です。このテーマが最も盛り上がったのは、16年に大手EC事業者のアマゾンが「アマゾン・ゴー」を発表した際です。その後、17年には場所を中国に移し、投資ブームが加熱していました。例えば、視察ツアーで「Bingo Box」(繽果盒子)といった現地の無人店舗に行った人もいるのではないでしょうか。しかし、18年には既に下火になっており、リストラや閉店の話題が主になっています。これはシンプルな理由です。というのは、無人店舗で購入できる商品は、自販機で売った方が販売側も負荷が少なく、消費者も体験が良いからです。