コロナ禍が沈静化し、街に人が戻ってきた今、アパレル専門店はどのように客を引き付けるのか。デジタルシフトも進み、店に求められる役割は変わってきた。飲食を併設した業態開発であったり、記憶に残る魅力的な店作りや接客であったり、立地や顧客の特性ごとに店の戦略も様々だ。繊研新聞社の記者が日々の取材で思うことや情報を交換し合った。
化学反応を起こす
大竹 ファッション業界での異業種の動きに以前から注目している。すごく意識するようになったのは、15年くらい前の自転車ブーム。ストリートカルチャーから流行した感じで。当時、業界が停滞というか、何か突破口を探しているような印象があって、自転車というツールを使った提案はとても新鮮だった。
ここ数年は、地方でカフェを併設した専門店が増えているのが気になっている。
関 カフェ併設の専門店が地方で増えている背景は。
大竹 コロナ禍で地元回帰があった。あとは、来店してもらう動機作り。地方は街全体があまり元気がないところもある。新潟・古町の一番店はカレーのテイクアウトを始めた。ネット販売で好調だけれど、やっぱり来店してもらいたいと洋服以外のフックを考えたのだろう。店に来店する人が増えれば街の活気にもなる。
永松 群馬など北関東とかだと、おしゃれな人はもともと東京の店に行く人が多かった。コロナ禍で行けなくなって、今まで行っていなかった地元の店に行ってみたら「意外にいい」と思う人が増えて、店側ももう少し機能的に拡充していったというのはあるのでは。
大竹 関さんが担当している大手専門店でも飲食の開拓をしていると聞くが。