【専門店】東京の商業施設に出店するメンズ個店 新たなステージでファンづくり

2021/05/06 06:28 更新


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 巨大ターミナル駅で集客力の高い駅ビルやファッションビルに出店する東京の小さなメンズ個店が出てきた。新型コロナ以前からテナントの脱同質化のため、期間限定ショップやインキュベーションスペースを設けたりという動きはあったが、常設出店のハードルは高かった。コロナ禍で都心の商業施設が厳しい環境に置かれる中、今までなら声のかかることがなかった新興企業にまで出店要請がかかることもあり、新たに好立地で勝負したいショップにとってチャンスは広がっている。

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レポートショップ

採算ライン低くできるメリットも

 メンレポートショップ 採算ライン低くできるメリットもズセレクトショップ「レポートショップ」(運営ケイ・エム・クロージング)は2月末から東京・新宿の「ルミネエスト」に新規出店した。元々ショップディレクターの小寺宏樹氏が東京・代官山に個人で立ち上げた路面店だったが、昨年秋の同施設での期間限定店を機にケイ・エム・クロージングの下で新たなステージで勝負することになった。さらに今春の移転・出店によって集客力の高い立地でのファン作りに挑む。

ルミネエストに出店したレポートショップ

 代官山にあった路面店はオリジナルブランド「セルクレイグ」「AWM」を軸に、メンズブランド「アモク」「ラキネス」などの仕入れ品と直接米国から買い付ける古着で構成。1階(約23平方メートル)と地下1階(約30平方メートル)の2層の売り場だった。同店は「自分で作ったものを自分で売る店をやりたい」という小寺氏が20歳のころから抱いてきた目標が実現したものだった。

 小寺氏は夢の実現に向け若いころから着々と準備を進めてきた。最初は店舗運営を学ぶため、個店や大手セレクトショップで販売員を経験。次に、物作りを学ぶために量販系OEM(相手先ブランドによる生産)企業に入社したが、あまり服作りについて学べなかったという。「自分で何とかしないと」との思いから、土日だけ大阪の紳士服縫製工場の手伝いをしながら、パターン・裁断・縫製の現場で職人からアドバイスを受けた。パタンナーの先生にも学んだ。こうした経験から、日本の職人の高い技術が次世代に継承されない現実を知り、「自分が継承したい」と申し出たこともあったが、「職人になるよりも工場に仕事を回す側の人になってほしい」との先輩職人の言葉から、「自身のブランドを自店で売る」という覚悟がさらに強くなったと振り返る。

 店舗立ち上げに向けて動き出したのは3年前。30歳前後に上京し、10年間働いていたOEM企業のケイ・エム・クロージング東京事務所に事業計画を提出した。ただ、「今は難しい」との経営判断があったため、小寺氏一人で準備することになった。代官山の路面店を開設する前に、プレゼンしていたルミネエストでの期間限定店にこぎつけた。2回目の期間限定店が決まり、常設店の出店が見えてきた段階で、「コロナ禍で路面店が厳しかったこともあり、個人での運営に限界」を感じ、小売り事業の進出を計画していたケイ・エム・クロージングに事業譲渡して店舗運営を継続させた。同社は熊本本社が縫製工場だったこともあり、小寺氏との夢とも重なり、新たなスタートが切れた。「コロナ禍で大手企業が守りに入る今こそ、小さな個店にはチャンス」と見ており、商業施設にとっても脱同質化のスパイス的な役割を新興企業・ブランドに求めている。さらに在庫など初期費用も通常の半分ほどで、採算ラインも低く設定できるメリットもある。ただ、ほぼ無名なショップが早急に結果を出すためにはオリジナル商品の価格は変更せざるを得なかった。オープン初日の売り上げはフロアの上位だった。認知度を高め、新たなファンの心をつかむことができれば多店舗化も夢ではないだろう。

小寺ショップディレクター

サン・ハウス

路面で培った接客など強みに

 メンズセレクトショップ「サン・ハウス」(運営はヒノヤ)は3月上旬、池袋パルコ本館4階に新店を開いた。10年にスタートした業態で、東京・上野、渋谷に次ぐ3店目。約7年ぶりの新店で、商業施設は初めて。コロナ下にあえて商業施設立地に挑戦するのは、同社・同業態として今後の成長を見据えての決断。まずは半年間の契約だが、売れ行き次第で延長する可能性もあり、路面店で培った丁寧な接客や顧客作りを強みに定着を目指す。

池袋パルコ本館4階に出店した「サン・ハウス」池袋店

 半年間の売上高は5000万円を目標としている。売り場面積は約66平方メートルで、上野店や神南店とほぼ同じ。「ポータークラシック」「エンジニアドガーメンツ」「ニードルス」「ナナミカ」「ザ・ノース・フェイス・パープルレーベル」などの仕入れブランドや、オリジナルの「バーガスプラス」などを扱う。特にポータークラシックは、バッグだけでなく衣料品も充実させ、館内だけでなく同地域での強みとしている。

 良質・高単価な日本のアメカジブランドを中心とした品揃えで本物志向の男性を狙うと同時に、女性のギフト需要も見据え、手頃な価格帯の小物雑貨なども揃えている。今後も客層に応じて新規ブランドやレディスを扱うなど、柔軟に対応していく計画だ。

 開店から約1カ月、売り上げは当初の予算計画通りで推移しているという。同業態の顧客層である20~30代に限らず、同フロアが西武池袋本店5階の紳士服売り場と連絡通路でつながっていることなどから、比較的年齢の高い層の来店も目立っているという。

「サン・ハウス」オリジナルTシャツも販売しており、順調な売れ行き

(繊研新聞本紙21年4月8日付)

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