ショップディレクター南さんの店

2015/03/06 07:09 更新


 カンナビスや1LDKなどのショップをディレクションしてきた南貴之さんが、東京・神宮前に新ショップ「グラフペーパー」(電話03・6418・9402)を開いた。自身で出店するショップは初めて。南さんがキュレーターとなり、アイテムやブランドの垣根を超えて商品を集めた、ギャラリーのような空間だ。

 2層の作りで、1階(総面積約50平方㍍)は白く塗られた鉄骨に白い壁、リノリウムの床。左右対称の無機質な空間が広がる。商品は陶器やかごなどがほんの少し並べられているだけで呆気に取られるが、仕掛けはここから。両壁面にいくつか飾られた黒塗りキャンバスを引き出すと、そこがラックや棚になっている。ラックごとにテーマが設けられ、商品が詰まっている。

 グレーのウエアや雑貨だけが並ぶラックに、ある作家の陶器だけを並べたラック、ドライフラワーを詰めたインテリア用のガラス瓶のラックといった具合だ。ウエアで仕入れているのは「ジョンスメドレー」「Nハリウッド」「ジョンローレンスサリバン」などだ。

2階にはフードも出せるカウンターを設けた
2階にはフードも出せるカウンターを設けた
3月末までのイベントで推している磁器の「スエキセラミックス」
3月末までのイベントで推している磁器の「スエキセラミックス」

 「日本の陶器や服、アフリカの民芸品、米国の大量生産品、どんなものであれ、いいものはいい。全く違うものを優劣なく並列で見せたかった。そういう空間は何かと考えた時、ギャラリーに行き着いた」と南さん。「使用用途はその人次第だから、なるべくミニマルで背景を連想させない店にしたかった」という。

 オープンレセプションの招待状に書かれていたのは、「ライフスタイルショップではありません」という意味深長な一文。「ここはむしろスタイルが無い店。人の生活に入り込むのではなく、アートのようにものを一つひとつ展示するというスタンス」だ。ライフスタイルを提案することで「誰の家に行っても同じだったら、気持ち悪いでしょう?」という思いがある。

 1階がギャラリーの〝常設展〟だとしたら、2階(総面積約30平方㍍)は〝企画展〟だ。カウンターも設け、食と連動したイベントも行えるようにした。3月末までは、徳島の大谷焼の窯元で作られる磁器「スエキセラミックス」の皿やカップなどを集めている。ブルーグレーやベージュ、深いグリーンなどの独特の色出しが特徴で、料理に合わせて色が楽しめる。大量生産が可能な磁器のため、皿で3000円前後と買いやすい。

 オープン時には、代々木上原のビストロ「メゾン・サンカントサンク」と組み、皿とコーディネートした料理をふるまった。



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