被災地から① 人や地域の資源生かす

2015/03/12 06:32 更新



「気仙沼ニッティング」  作り手と買い手が会える場所

 震災を機に豊かさの基準が見直され、地方でのブランド開発が相次いでいる。人や素材など地域の資源を活用し、被災地発の強いアイデンティティーを持つブランドが育ち始めた。

 14年11月、宮城県気仙沼市の海を眺める丘の上に、小さな店がオープンした。気仙沼ニッティング初の直営店「メモリーズ」だ。震災後にスタートした同社は、気仙沼に暮らす人々が手で編むニットウエアを製造、ネットを中心に販売している。お客から「気仙沼に行くから商品を直接見てみたい」という声が増え、見晴らしのいい物件が見つかったことから開店を決めた。「場所はとても大切。わざわざ気仙沼まで来ていただくので、ワクワクするような嬉しい場所にしたいと思いました」と御手洗瑞子社長は話す。

 メモリーズは「編み手と会える場所」でもある。店の奥のスペースで、作業中の編み手と交流することができる。東京や名古屋、新潟など遠方からの来店が多く、ほとんどが目的買いの客だ。編み手にとっても、いい刺激になっており、「お客さんも私たちもこの場所を楽しんでいる。楽しい場所には大きなポテンシャルがあると感じている」と話す。

 法人化したのは13年6月。初年度から黒字を達成、着実に事業を成長させている。現在、編み手は35人。「市場に合わせた商品を投入していくためには、作り手の育成、技術向上が欠かせない」とするが、編む力がつき少しずつ生産体制が整ってきた。抽選だったオーダーメードのカーディガン「MM01」の販売形式を、申し込み順に切り替えることができたのも大きな前進だ。

 視線の先は海外にも向いている。先日、全米で放送されるテレビ番組で取り上げられ、英語版のサイトも立ち上げた。世界に向けて販売する日も、そう遠くなさそうだ。

 EC(電子商取引)サイトで、利用者の好みに合った商品やサービスを自動的に分析して推奨する機能。利用者が過去にどんなサイトを閲覧しているか、どんな商品を購入したかなどの情報をもとに、その人の好みを分析する。過去に同じ商品を購入した人が他にどんな物を買っているか、あるいは興味・関心の似た利用者をグルーピングし、同じグループの中でよく購入されているものを調べ、利用者が興味をもつ商品を推測する方法などがある。利用者が購入する可能性の高い商品が表示されるため、購入率や買い上げ金額の向上が期待できる。(2015/03/12)



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