「SHIBUYA109lab.メンズトレンド大賞2025」を先月発表しました。アラウンド20(15~24歳)男性646人を対象にしたアンケートを元に、25年に男子の間で流行したものを紹介しています。ランキング発表と並行して、美容や身だしなみの動向に詳しいマンダムのギャッツビー、コーディネートに悩む男性に向けたサービスを展開するコーディメイト(東京)の皆さんとともに、ワークショップと5人の若年層男性のデプスインタビューを行い、25年の消費ムードも分析しました。
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どんな服でも似合う自分に
今年印象に残ったのは、ファッション部門だけ「その他」の回答が多く、トップの得票数が他部門よりも少なかったことです。これまで若年層男子の「おしゃれ」は、女子と比較するとややパターンが少ない印象でした。しかし、メンズトレンド大賞の発表を始めた22年からの3年間の変遷をたどると、ファッションやヘアスタイルに対する興味関心の平均レベルが上がっているように感じます。そして身だしなみは大前提のもと、多様化しています。
今回の調査では、堅実かつ近くから見たときに減点回避ができる無難なスタイルを求めるタイプと、トレンドや古着を取り入れつつ自分の「好き」を楽しむ個性派タイプがいることが確認できました。特に個性派タイプの男子は、筋トレやボディーメイクに関する言及も多く、どんな服を着るかよりも、どんな服でも似合う自分でいることを意識している人も多い印象です。
また、この二つのタイプの間にもグラデーションが存在していて、全体としては無難なように見えるけれど、ヘアスタイルやファッションアイテムなど、細部で個性を出して楽しむタイプも観測しています。
「余裕がある」がキーワード
そして、「モテ」に関する意識にも変化が見られます。23年調査では関連キーワードとして「清潔感」が頻出していました。清潔感は長年、若年層男子にとって大事なキーワードで、もちろん今も継続しているのですが、今年のインタビューでは目立った発言が見られませんでした。
清潔感という身だしなみの最低限の要素について言及が減っているのも、身だしなみに対する意識の平均レベルが上がっているからなのかもしれないと感じます。そして、外見的な清潔感に気を付けることが「当たり前」になる一方、内面的なかっこよさにも言及する人が多く、内面的な要素を重視する傾向が強まっています。
特に「余裕がある」「面白い」「漢(おとこ)らしい」といった言葉がよく出ており、特に「余裕がある」は大事なキーワードのようです。「外見は頑張っても限界があるから、内面で勝負するしかない」という言葉も印象的でした。
今でも「モテたい」という気持ちが、彼らのモチベーションになっているのは変わりないようで、外見磨きは引き続き大事なテーマではありますが、その次のフェーズとして内面磨きに目を向ける若年層男子が増えていることが考えられます。多様なスタイルを許容しながらも、外見と内面の両面から「かっこよさ」を探る姿勢は、25年の若年層男子の理想像を静かに、しかし確かに形作っているように思われます。

