渋谷パルコきょうオープン 新しいと楽しい詰め込んで

2019/11/22 06:30 更新


 渋谷の文化発信の地として名をはせてきた渋谷パルコが今日、リニューアルオープンする。ファッションをはじめ、アートから演劇、ゲーム、食まであらゆるカルチャーを詰め込んだ館が完成した。

 新しくて面白いものが満載で、おもちゃ箱をひっくり返したようなカオス感が魅力。特にファッション分野は、ディベロッパーもブランドも楽しい店づくりを目指した感じが伝わってくる。売り場の見どころを紹介する。

(青木規子)

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 新しい渋谷パルコは特定の年齢層や性別を意識した店ではなく、ビルターゲットをノンエイジ、ジェンダーレス、コスモポリタンと掲げた。「新しいこと、人と違うこと、面白いこと、個性を追求する都市型生活者」が訪れるビルを目指すという。

 そんなコンセプトをもとにファッションブランドの出店リストも組み立てられたことがうかがえる。規模の大小、有名無名は関係なく、ラグジュアリーブランドもドメスティックブランドもストリートブランドも古着店も同じ視点で並ぶ。さまざまなジャンルの今のおしゃれを求める服好きを満足させるラインナップになっている。

 中でも目を引くのが、1階のラグジュアリーブランドだ。公園通りに面した広いスペースには、「グッチ」がオープンした。パルコの得意分野は東京ブランド。以前の店でも「ミュウミュウ」は入っていたものの、正統派ラグジュアリーが出店するとあってリスト発表当初からどんな融合があるのかと話題だったが、パルコのコンセプトにぴったりフィットした店が完成した。

 専用のエントランスを入ると、鮮やかなイエローとライムグリーンの空間が広がっている。フィッティングルームやエントランスのカーテンには日本画から着想した花木の柄が描かれ、和盆のような台に雑貨が並ぶ。渋谷のポップなストリートの感覚とグッチのエレガンスをミックスした他とは違うデザインになった。売り場面積は240平方メートル。顧客などがくつろげるシークレットルームも併設している。

グッチ

 1階には「ロエベ」も出店した。「パルコの現代的センスに加え、東京で最も有名なエリアである渋谷」という立地が出店を決める要因になった。通常のラインナップはもちろん、現代的なセンスを持つ人に向けて、特に遊びのある商品も重点的に揃えている。そのほか「トム・ブラウン」が出店したほか、「ディオール」と「リモア」の期間限定店も目を引いた。

ロエベ

 オープン時は限定の商品や企画に力を入れている店も多い。「コムデギャルソン・ガール」の初の単独店では、若者に向けた様々な協業商品を揃えている。「ディズニー」とのTシャツ、「ルイスレザー」とのライダースジャケット、「コンバース」とのスニーカーなどが充実する。

コムデギャルソン・ガール
コムデギャルソン・ガール

 ジュンの「ポップバイジュン」は、「期間限定・ショートタームで魅力的なコンテンツを発信する」とするが、22日まで具体的な内容は明かしていない。オープンまでウィンドーを建設資材で覆い、中の様子も隠している。

ポップバイジュン

 モード&アートと題した2階は、力のある日本のブランドが勢揃い。通常の商業施設であればどれも主役級。ブランドそれぞれが個性を発揮した。「アンダーカバー」は、青山の本店とラフォーレ原宿のマッドストアを凝縮した国内最大のインショップ「アンダーカバーノイズラボ」をオープン。メインのメンズ、レディスに加え、「スーアンダーカバー」「ジョンアンダーカバー」が揃う。広い売り場にデザイナーの高橋盾がデザインした棚が迷路のように置かれており、中を入っていく楽しさがある。

アンダーカバーノイズラボ

 渋谷好きの「アンブッシュ」は、渋谷本店に次いで2店目。ハンドメイドの新しいウェアライン「アーティザナル」を同店限定で販売する。

アンブッシュワークショップ2

 メンズの隣にレディスがあったり、メンズとレディスの複合店にしたり。男女差を感じさせない売り場作りも特徴だ。「ビューティフルピープル」では、初めてメンズを共存させた。建築資材がむき出しのインテリアなどBP流のユーモア満載。鏡文字の店名は吹き抜けのガラス面から見ると正しく読める。インバウンド(訪日外国人)向けにはカタカナのロゴTシャツを販売する。

ビューティフルピープル

 「トーガ」もインショップでは初めて、メンズレディスを一緒に揃える。メタリックな内装や、台北のレコード店との協業アイテムなど新しい取り組みも見どころ。「イッセイミヤケシブヤ」では、女性ファンも増えている「オムプリッセ・イッセイミヤケ」と「バオバオ・イッセイミヤケ」などを男女の境目なく販売する。

トーガ
イッセイミヤケシブヤ

 そのほか、国内の「カラー」や「グラウンドY」、海外の「MM6メゾン・マルジェラ」「MSGM」なども並ぶ。「タカヒロミヤシタザソロイスト」や「コムデギャルソン・ジュンヤワタナベ」などメンズも多い。

カラー

 店の形が横長だったり、奥が深かったりと、区画割りが個性的なのも楽しさを倍増させる。3階の「ピアレス」は、「ビズビム」と「ダブリューエムヴイ」が揃う店。緑のテラスに面した売り場は日差しがたっぷりと当たり、明るいムードが漂う。

ピアレス

 原宿の古着店「ベルベルジン」は、テラスの一角にある離れのような店構え。商業施設の中とは思えない店の作りが面白い。本店では扱っていないバンドTシャツを中心に販売する。「アンリアレイジ」は売り場の境界線をあいまいにしたデザインが特徴。新商品に合わせて巨大なボディーが店から飛び出したように置かれている。

ベルベルジン
アンリアレイジ

 3階には初めて直営店を出したブランドも多い。「チノ」は渋谷・宮下公園にあったスケートパークにちなんで曲線を内装に取り入れた。「08サーカス」やアタッチメントの「ファーモン」など卸し先の多い店が揃う。「g.サカヨリ」は動画を通して動きのある店を目指す。

チノ

 エイ・ネットの「メルシーボークー,」は、環境に優しい建材を使い、服を大事に扱う気持ちも伝える。内装は割りばし用の杉の間伐材のタイル、オーガニックの塗料、クローズした店で使っていた什器で構成。一番の特徴はラックの後ろにあり店頭の一部になっているスライドする在庫棚だ。在庫をぎゅうぎゅうに押し込むのでなく、全てを大切に扱おうというコンセプトを表現した。動かすところやその中が客に見えるのも楽しい。商品はイラストレーター、川村淳平さんとの協業プリントTシャツ、過去の在庫に手を加えたサステイナブル(持続可能)でブランドのファンには懐かしい「アンコール企画」限定版なども揃う。

 エイ・ネットは「カバン・ド・ズッカ」「にゃーショップ」も出店した。

可動式の在庫棚(メルシーボークー,)

(写真=南部菜穂子)



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