【パリ=松井孝予通信員】フランス政府が中国発EC「シーイン」に対し仏向けサイトの3カ月停止を求めた申し立てを巡り、審理を目前に司法当局が慎重姿勢を示した。現地報道によると、パリ地検は「全面停止は過剰となり得る」との見解を裁判所に伝えた。
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地検は、行政措置は目的に比べて重すぎてはならないとの欧州の司法原則を指摘。ネット遮断のように事業活動を大きく制限する措置は、自由な経済活動や表現の自由を不当に侵害するリスクがあるとの立場だ。一方、シーインのマーケットプレイスについては、地検も「是正措置は確認した」とする。12月5日の審理では、違法販売が完全に止まったことを同社がどこまで立証できるかが焦点。政府と地検は、デジタル規制当局アルコムにシーインの改善状況を監督させる案でも一致している。
こうした中、シーインは12月2日に国民議会が予定していた公聴会への出席を見送った。司法判断を優先する企業側と説明を求める政治側の姿勢の違いが際立った。司法当局が慎重姿勢を示したことで、5日の審理が注目度を増している。