《アップデート・新縫製工場②》取引先から事業承継、山梨に移住　「アグルカ」が新たなスタート

若い人材も増えている

　山梨県上野原市にある縫製工場およびブランドの「アグルカ」。運営する井奥の坂戸順子社長が、「服作りが好きで縫製業がしたい」という思いを原動力に、山梨県に移住してまで工場を立ち上げた。取引先だった兵庫県の縫製工場から事業を承継。19年6月のコロナ禍前に、設備だけでなく人材も一緒に新天地で新たなスタートを切った。

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物件探しに苦労

　前工場の社長から「引退したい。その際はよろしく」と以前から声を掛けられており、話が本格化した18年夏から物件探しを始めた。取引先のアパレルが東京に集中しており、兵庫県ではなく首都圏近郊を目指したが、物件を探す中で山梨県上野原市の広い物件と自然豊かな環境にひとめぼれ。家族での移住を決めた。JR中央本線の四方津駅から徒歩数分の立地で、新宿駅まで電車で約80分と交通の便も悪くない。長年空き家だった建物を自分たちでリノベーションし新工場の開設にこぎつけた。前工場の従業員4人のうち熟練職人を含めた3人が移住を了承し、即戦力になってくれたことも大きかった。