「言葉」で振り返るファッション業界~22年10月編~

2022/11/22 10:58 更新


 繊研新聞が日々発信するニュースには、経営者やデザイナー、職人、販売スタッフなど、様々な人々の「言葉」が満ちています。

 【「言葉」で振り返るファッション業界】では、熱のこもった言葉たちをひと月ごとに振り返り、ご紹介します。

実現可能かではなく、好きか嫌いかを考えて

ダルデザイナー兼オーナーの水谷美知さん


 かっこいい服を作り、買う人の心を豊かにしたいと18年に自分のブランドを作った。その重ねてきたキャリアが培った人脈を担保に、念願だった店を出した。服が好き、お金があるだけでは開業できないと断念したこともあったが、環境にとらわれて自分の思想や理想を失ってしまうのは怖いことと知る。ファッション業界を目指す若者に、それぞれの答えを見つけてほしいとエールを送る。

(繊研新聞本紙22年10月17日付7面)

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キーワードは公共性

スウォッチブックCEO=最高経営責任者=のヤザン・マルコシュさん


 日本市場で世界最大級のデジタル生地ライブラリーなどのプラットフォーム「スウォッチブック」の拡大を目指す。日本企業の多くは、DX(デジタルトランスフォーメーション)をどこから取り組めば良いか迷っていると見る。一部の業態だけが突出しても、構造改革の進展はない。肝心なのは産業全体で進めること。多種多様なサプライヤーとの協業でDXを加速し、製販の効率化や大量の衣料廃棄物の削減への貢献を狙う。

(繊研新聞本紙22年10月18日付3面)

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ノウハウ、知識を生かしてウクライナに恩返しをしたい

ワウマスクを開発したニキータ・ショロムさん


 折り紙のような独特のフォルムの「ワウマスク」を開発。戦火を逃れて来日した日本でパートナー企業を探している。「マスク業界のゲームチェンジャーになれば」と事業化に向け奔走中だ。複数国で特許を取得し、ウクライナでの量産は目前だったが、ロシアによる軍事侵攻で工場が被災し白紙に。街は戦火に見舞われ、工場は壊滅、目の前で人が死んでいく様を目の当たりにした。事業が軌道に乗れば、売り上げの一部を祖国ウクライナに寄付したいと考える。

(繊研新聞本紙22年10月26日付1面)

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その人の「特性」を見つけて「得意」にしてもらう

ドゥーラック社長の今堀陽次さん


 兼務する障害者就労継続支援事業と子供服メーカーとの3社協業で、過剰在庫を廉価で販売する「ラックドゥ」を出店した。検品やウェブ用の写真加工、採寸などを障害者に委ねてきたが、出店を機に販売も担ってもらう。得意になって最終的に仕事が好きになってもらえばと願う。SDGs(持続可能な開発目標)には福祉や雇用もあることを示しつつ、「協力してくれるメーカーや小売りはもっと増えてほしい」と話す。

(繊研新聞本紙22年10月28日付10面)

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後発の苦労は覚悟している

ユタカメイク営業部門営業2課マネージャーの吉濱幸一さん


 ロープやシートなどを製造・販売するユタカメイクが、靴下事業に参入した。企画・生産・販売、ECやアンテナショップ計画など事業全般の責を担う。バスケット選手として、プレーに欠かせないスポーツソックスに強くこだわる。靴下にかける熱い思いが進出をかなえた。靴下ソムリエの認定も受け、ウォーキング、介護、高齢者向けなどを念頭に商品開発に勤しむ。厳しさも理解した上で、新たな業界に乗り込んでいく。

(繊研新聞本紙22年10月31日付8面)

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