「言葉」で振り返るファッション業界~22年8月編~

2022/09/28 10:58 更新


 繊研新聞が日々発信するニュースには、経営者やデザイナー、職人、販売スタッフなど、様々な人々の「言葉」が満ちています。

 【「言葉」で振り返るファッション業界】では、熱のこもった言葉たちをひと月ごとに振り返り、ご紹介します。

「ファッションを超えて、アート的な美の価値を」

アライアCEOのミリアム・セラーノさん

©PAUL SCHMIDT

 「クロエ」や「ニナ・リッチ」で経験を積み、 仏「アライア」の新CEO(最高経営責任者)に就いた。フランスとイタリアのクラフトマンシップを生かした服を軸に、新クリエイティブディレクターのピーター・ミュリエのビジョンを反映する。日本には強いファンのコミュニティーがある。既製服ではあるが世界でのウェアの平均購入金額は、1900 ユーロ と非常に高い。それに見合う価値を美に求める。

(繊研新聞本紙22年8月5日付2面)

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「お客様目線でブランドらしさを追求」

マークスタイラー社長の秋山正則さん


 15ブランドを運営するマークスタイラー。若年層は少子高齢化で減るとの意見もあるが、「そこでシェアをいかに確保し、ファンを作ることを突き詰めていけば必ず方法はある」と様々なテイストのブランドを開発してきた。使命とするのはワクワク感や「お気に入りの1着で気分が上がる」ことの提供。その実現のために、顧客からのヒアリングで得た視点でブランドらしさを追求する。コロナ禍でも「セールは一切するな」と号令し、価格に対する信頼感を築き、ブランド毀損(きそん)を防いだ。売上高はコロナ禍前を超える見通しだ。

(繊研新聞本紙22年8月5日付6面)

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「誰かの心に刺さるものを作りたい」

テトメデザイナーの近藤宏美さん


 画家を志していたが、絵のモチーフとして使っていた〝石〟にひかれてアクセサリーデザイナーになった。「ただ美しいだけでなく、触れたらけがをしそうな、危うい魅力を持つ」アクセサリーを作る。そのモチーフの背景や歴史を調べ、なぜそれを美しいと思ったかを理解してから制作する。作品に込められた背景や思いを知り「ひかれた理由」に納得するファンが少しずつ増えている。

(繊研新聞本紙22年8月15日付6面)

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「生きるためのヒントがたくさんある場所」

石徹白洋品店店主の平野馨生里さん


 そのヒントとは「働いて土と触れ、自分の手で物を作り、みんなと楽しみを共有する」こと。白山国立公園の南山麓に位置する小さな集落、石徹白(いとしろ)で「たつけ」など民衣を作って生計を立てる。サステイナブル(持続可能)な製造過程は、移住してここで働きたいという若者を呼び寄せる。アパレル経験者は、廃棄物が多く出て、服作りがゴミ作りになっているのが嫌でやってくるケースが多いという。

(繊研新聞本紙22年8月26日付6面)

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「サプライチェーン全体での環境配慮を」

艶金社長の墨勇志さん


 「脱炭素経営」を志向する。「染色整理加工業は繊維産業のサプライチェーンで最もエネルギー使用が大きい業種」だと環境配慮に真っ先に取り組む。脱炭素経営への転換で同じ考え方を持つ企業が共鳴、新規受注にもつながった。食品残渣(ざんさ)を染料として加工する「のこり染め」の引き合いも増えている。「今後もファッション業界の変わるべき方向として、当社なりの考え方を訴えていきたい」と話す。

(繊研新聞本紙22年8月30日付6面)

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