【販売員のやりがいってこんなところ】デサントゴルフコンプレックス銀座 岸麻衣子さん 〝新しい扉〟開ける存在に

2024/05/16 00:00 更新


「超提案型スタイル」と評される〝攻め〟の接客が特徴の岸さん

 わざわざ店舗に足を運ばなくても、手軽に買い物ができる今。試着をしなくても、サイズ感や素材感を伝えられるツールがどんどん発達するなかで、来店の動機となるのは「あの人から買いたい」と思う販売員の存在だ。優れた商品知識だけでなく、心をつかむ提案や親近感のある接客が、ファンを生む。

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体験もとに接客、指名客も

 24年2月に開催された販売員の社内コンテストで、約700人の販売員の頂点に立った岸麻衣子さん。前年度も特別賞を受賞しており、指折りの実力派だ。当然、彼女に憧れるデサントのセールスコーディネーター(SC)は少なくない。

動機は力試し

 スポーツブランドのエース販売員だが、岸さん自身は意外にも「インドア派だった」。高校までは運動系の部活をしていたものの、卒業後は日常的にスポーツに親しんでいたわけではなかったという。

 地元の東北で、百貨店内のアパレル販売員やラグジュアリーブランドの事務などを経験したのち、知り合いからデサントの求人を教えてもらい、応募した。「ファッションと異なり、男女・年代の区別なくお客様が来店するお店で力試しをしてみたいと思った」のが動機だ。入社は18年6月。

 配属されたのは、その2カ月前に銀座・並木通りにオープンしたばかりの「マンシングウェア」の路面店。接客スキル自体はこれまでの経験が生きたが、商品やゴルフそのものの知識がなく、苦労した。思い悩んだ結果、岸さんはゴルフを始めることにした。練習場でのレッスンを経て、19年にコースデビュー。すると、客への説明にリアルさが出てきて、会話も弾むようになる。

 例えばレインウェアは雨だけでなく、風による寒さも防げると知ると、「晴れた寒い日にはブルゾンのように使えます」と薦められるようになった。紫外線を受ければ体力も奪われることを体感すると、ポロシャツなどの下に着る長袖のアンダーウェアは「日焼け対策だけでなく、疲れづらさにもつながる」と訴えられるようになった。

 実体験をもとにした接客によって客の反応は明らかに異なり、会話も弾む。もともと相手の懐に飛び込むのを得意にしていた岸さんは、親しくなった客から名前で呼ばれるようになり、スポーツ用品の販売が楽しくなっていく。

かみ砕いて話す

 そんな折、再び岸さんに転機が訪れる。22年に勤めていた店舗が業態転換し、デサントが扱うゴルフブランドを一堂に集めた「デサントゴルフコンプレックス銀座」になったのだ。新しく販売するようになったブランドは、同じ会社が作ったものにもかかわらず、こだわりが違い、驚いた。

デサントが展開するゴルフブランドを集めた「デサントゴルフコンプレックス銀座」

 初めは社の方針に戸惑いがあったものの、根が前向きな岸さんはチャレンジを続ける。特定ブランドのある品目を買うために来店した客に対して、別ブランドの別アイテムを勧め購入につながったのが自信になった。「私がご提案しなかったら、そのお客様は今後もずっとそのブランドだけを着ていたかもしれない。お客様が知らない〝新しい扉〟を開くお手伝いができたのは純粋にうれしかった」と振り返る。これこそが販売員のだいご味と言えるだろう。

「デサントゴルフコンプレックス銀座」

 成長が認められ、岸さんは2年ほど前から自店スタッフに販売技術などを指導する「接客基礎管理」担当を任されるようになった。週1回、10人のスタッフに対して指導役を務める。

 頻繁に実施しているのは、岸さんが客役となるロールプレイングだ。岸さんが最もこだわるのは、専門用語をかみ砕いて話すこと。「例えば『この製品はUPF+50ですから…』などと言っても、それが紫外線をどれだけカットする効果があるか伝わらない」。機能性の高いウェアが充実しているスポーツブランドらしい販売技術だ。

 「まずは店長に」という岸さんだが、将来的には「自店の仕事をしながら、販売スペシャリストの育成も担えるようになれたら」と語る。従来の枠にとらわれない、〝ニュータイプ〟の販売員誕生は近い。

■ここがすごい!

 岸さんは、店舗スタッフナンバーワンを決める社内コンテスト「デサントSCオブ・ザ・イヤー」で優勝を勝ち取っています。優雅な雰囲気と所作、内面はユーモアと親しみやすさで、様々な人をとりこにしています。顧客の数が店舗内で一番多いスタッフです。(山田洋介デサントゴルフコンプレックス銀座店長)

(繊研新聞本紙24年5月16日付)

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