“街の豆腐屋”シャノアの自転車用ウェアとバッグ売れる

2017/10/20 04:28 更新


レンタルサイクルが好評な東京・浅草近くの直営店

 シャノア(東京、電話03・3842・2883)の自転車用ウェアとバッグブランド「リンプロジェクト」は卸や直営店に加え、ECの売り上げを伸ばしている。「自ら作り、試着したものを作り自分たちで売るという〝街の豆腐屋〟のようなスタンスが自転車好きのニッチな需要を獲得している」と山田浩社長は話す。浅草の直営店を拠点にしたレンタルサイクルや自転車の輪行ツアーなど、コトの仕掛けもファン作りにつながっている。

雑貨の売り上げ堅調

 同ブランドは東京都台東区松が谷の直営店近くに今春から自社工房を設け、山田社長自らがバッグを小ロット生産する。工房にはミシン3台、クリッカー(型抜き)、大型裁断機などがある。今後、物作りのスタッフを増やす予定。最近では輪行に特化したバッグや小物など雑貨の売り上げが堅調で、ウェアと半々の割合まで成長しており、さらに拡大する計画だ。

 ここ数年でECの売り上げ構成比が約30%まで高まってきた。小ロット生産(60~70本)したパンツなどはECで1年かけて消化することも多いという。ウェアも雑貨も定番として作り続ける商品が7割を占め、リピーターも目立つ。

 直営店では定期的に輪行ツアーを企画し、気軽に自転車での旅を楽しんでもらっている。年間で延べ100人ほどが参加し、常連客も多い。女性客はリピート率が高い。「ツアーで着用してもらえればブランドの良さも伝わり、コアなファン作りにもつながる」(山田社長)とみている。レンタルサイクル(1日3000円)は欧米などの外国人観光客による1週間の利用が大半を占める。

頭部を防護するレトロなアイテム「カスク」

 リンプロジェクトは01年にスタートした自転車の街乗りウェアの先駆的な存在。ストレッチ性や吸汗速乾性、防風・防水など機能性に優れつつ、競技用とは異なり街になじむカジュアルウェアが中心で、頭部を防護するレトロなアイテム「カスク」はブランドアイコンになっている。卸し先は主に自転車店。

異業種と取り組みも

 今秋冬物の、綿ナイロンに撥水(はっすい)加工したワーカーズジャケット(1万8000円)は乗車時の姿勢を想定した立体的なパターンで、襟にリフレクターが付きバックポケットも備える。裾ストラップや股下にサドルパッチが付いたストレッチサイクルロングパンツ(1万2000円)は定番として立ち上げ当初から作り続けている。


タウンユースにもなる高機能な街乗りウェア

小径車用の輪行バッグ

 バックパックにもなるトラベルサドルバッグ(帆布が1万3000円、PVCが1万4000円)をはじめ、帆布パニア(1万9000円)、スリーウェーハンドルバッグ(7000円)、小径車用輪行バッグ(1万1000円)などを揃える。アイコンのカスクはレザーが1万4000円、合皮の3色旗柄が9500円。


自転車から外しても使えるサドルバッグやハンドルバッグ

 今後は和柄のサコッシュを土産物の雑貨店へ卸したり、自転車用ウェアを作業服としてプロの園芸業に提案したり、特大バッグを消防隊用にOEM(相手先ブランドによる生産)したりと異業種との取り組みも広げる。




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