アパレル業界の裏方が沖縄ブランドの発信を支援――アパレル資材卸のレイドリーム(大阪市)は、大阪・南堀江で、沖縄の5ブランドを集めた期間限定店「1090」を開いた。「沖縄という土地や文化、ブランドに対する姿勢やこだわりに心を打たれた。こうしたブランドがもっと接点を広げていく手伝いができれば」(徳丸拓也常務)と実施、予想以上の人が訪れてにぎわった。
参加したのはアパレル「リリーズアイスクリーム」「イグナイター」「ハブボックス」「ボルステッド」と帽子の「ダンチ」。いずれも22年にレイドリームが開拓した卸先で、大阪への進出を希望していた。
沖縄は、資材や素材の調達コストが他地域よりも高くなってしまうなど、物作りの選択肢が限られる面もある。それでも「もっと良い物を作ろうという意識が強く、テイストとしても大阪のカルチャーと親和性があると感じた」ため、今回の期間限定店を思いついた。
南堀江のビル1階の広いスペースを借り、作り手が実際に客と出会えるものにした。徳丸さんが大阪在住の沖縄出身者などにも声をかけ、スタッフとして協力してくれる人を集め、楽しい売り場作りを目指した。
リリーズアイスクリームは、ディダノワ(読谷村)が22年にスタート。アイスは着るモノをキーワードに、タイダイでアイスクリームを連想させるような色使いなどのオリジナルボディーのTシャツが男女に人気だ。大阪での期間限定店は今回が初。
イグナイターは、沖縄市に工房併設の店舗を構えるカジュアルブランド。工房にはインクジェットプリントや刺繍の設備があり、オーダーも受け付ける。既製品も刺繍とプリントを組み合わせた表現力を強みに、アンガマやエイサーなどの沖縄文化をストリートテイストにミックスしたTシャツ、オープンカラーシャツなどを打ち出した。
ダンチは、帽子職人の宮城恵一郎さんによるファクトリーブランド。22年2月に宣野湾市に工房兼ショップをオープンした。ホップサックと綿・ナイロンを組み合わせた新作キャップは、通気性があり、ドローストリングでサイズ調整が可能だ。受けた風を柔らかく受け止めて逃がすように工夫したつば、首の日焼けを防ぐ日よけも折り畳み式でスマートに盛り込んだ。工房ではつばの長さ、パネルの配色などのリクエストに応じたカスタムオーダーも受け付ける。
「旅行シーズン前に実施したことで、現地でまた会ってもらえる楽しみもできた」と徳丸さん。「今後も様々な販売先や人を巻き込んで、期間限定店などのイベントを広げたい。販売先ブランドのこだわった売り方や発信の手伝いができれば」と続ける。