ファッションデザイナーのパコ・ラバンヌさんが、フランスのブルターニュで亡くなった。88歳だった。ローカル紙が2月3日、伝えた。
ラバンヌさんは34年スペイン・バスク地方生まれ。母がクリストボル・バレンシアガのもとで働いていたことから、幼少の頃からファッションに親しんでいた。一家は30年代のスペイン内戦から逃れブルターニュ地方に移住した。
未来のデザイナーは17歳でパリに渡り国立芸術学校で建築を学びながら、「クリスチャン・ディオール」や「バレンシアガ」でデザイン画を請け負っていた。そして64年に「現代的な資材による」実験的なドレスでファッション界にデビュー。ロジウムなどメタルを使ったクリエイションは、ペギー・グッゲンハイムや有名人たちから注文が殺到し、映画の衣装にも採用された。68年に同郷のプーチグループと契約し、香水が大ヒット。71年にオートクチュールの正式メンバーとなり99年まで続いた。80年代にはライセンスビジネスを拡大した。プーチは86年に「パコ・ラバンヌ」を買収、90年代にプレタポルテラインを立ち上げたものの、06年にファッション部門を閉鎖。好調な香水事業によりプレタは11年に再開され、13年からジュリアン・ドッセーナがクリエイティブディレクターを務めている。
ラバンヌさんは、「メタル、紙、プラスチックで初めてドレスを作ったことが私の財産だ」と語っていた。挑発的で大胆な資材をファッションにしたアバンギャルド精神は後世に大きな影響を与えた。
(パリ=松井孝予通信員)