眼鏡・サングラスの製造販売のオンデーズは、来年4月から新卒の初任給を1万5000円引き上げる。製造業・物流業の多い地域で初任給や賃金の上昇が続いており、地方の店舗で採用負けする危険性があるため。併せて男性の育児休業も義務化し、長く働きやすい環境を整える。
21万円から約7%高い22万5000円とした。愛知や神奈川、千葉、埼玉などは製造業や物流業が多く、例えば「名古屋だと裾野の広い自動車産業で1万円上がると小売業にほとんど人が回ってこない」(田中修治社長)という。同社は全国に出店しており影響は大きいと見て、手を打った。
10年前のシンガポールから出店を始め、現在の店舗数は海外の方が多い。インフレ以上に賃金上昇圧力が高い欧米へ出店している小売業と異なり、同社は東南アジアが中心のため「企業内賃金格差は小さく、安定して経営できている」。この10年で出店先の国の賃金が上昇し、突出して高かった日本を追いかけ平準化されつつある。
また、政府の少子化対策に応じ、男性スタッフの育児休業取得の義務化も決めた。育休の取得期間は、生まれてから2年間で30日間を義務とし、最大で60日間(年30日)の取得が可能。分割取得も可能で、配偶者の希望や環境に合わせて柔軟に対応できるようにした。
「出稼ぎ制度」も導入した。名古屋など人手が足りない店舗に1~3カ月単位で応援出張すれば、基本給に最大15万円上乗せされる。2カ月に1回、応援を求める店舗が社内掲示板に求人を掲載、所属店舗などと相談して可否が決まる。
4月も関西の店舗の2人が九州に応援に入っている。「夏だから沖縄の店舗に行ってみようとか、リゾートバイトのようなもの」と田中社長。人手不足の解消と多様な働き方の両立を探っている。