バストの大きな女性は、着る服によっては太って見えたり、意図せずにセクシーさが強調されてしまうことがある。それが原因で人の目が気になり、自分に自信が持てなくなることも。エスティーム(東京)の和田真由子さんは自分自身の経験をもとに、バストの大きな女性が〝胸を張って〟生きられる服を提供したいと、オリジナルブランド「overE」(オーバーイー)を開発。同じ悩みを持つ女性の共感を生んでいる。
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「大手下着メーカーの調査によると4人に1人がEカップ以上。バストをコンパクトに見せる機能のブラジャーも売れている」と和田さん。同じ悩みを持つ女性のための服を提供したいと起業した。当初は海外製品の輸入販売を考えたが、思うような服が見つからず、自ら作ることにした。
◆一番の悩みのシャツから
最初に着手したのはバストの大きな女性が悩みとするシャツ・ブラウス。起業以前は出版社で働いており、アパレルの経験はない。どこで作っていいか分からず、工場に電話し、会って話を聞いてもらいたいと直接出向いた。工場で紹介された女性のパタンナーが同じ悩みを持っており、共感しながら聞いてくれ、協力してくれた。
シャツはバスト部分を立体的に作り、さらに、開いてしまいやすい部分のボタンの隙間に隠しボタンを付け、きれいに収まるように工夫している。その後に作ったジャケットもボタンの上に隠しホックを付け、前かがみになっても胸元がぱっくりと開かないよう工夫した。
16年にはテストマーケティングを兼ねてクラウドファンディングを実施。同年、東京都主催のビジネスコンテスト「スタートアップ・ゲートウェー」ではセミファイナリストに選ばれた。
◆顧客の声を集め服作り
17年秋には顧客の声を集めて作った「理想のワンピース」を発売した。袖の形、スカート部分のシルエットや丈、ネックの形、着るシーンなどに対しての要望を集めたものだ。完成したワンピースは上半身はすっきり見せながら女性らしいフィット・アンド・フレアのシルエット。2月にはワンピースの新作発売も予定している。
オーバーイーが対象とするのはEカップ以上、もしくは胸囲90センチ以上の女性。身長(レギュラーとトール)、バスト(90と96センチ)の組み合わせで4サイズを揃える。シャツ6900円から、ジャケット1万5120円から、ワンピース1万2000円から。ウォッシャブルや形態安定など、働く女性の〝時短〟ニーズに応える機能もできる限り盛り込むようにしている。
◆「初めて試着楽しめた」
販売はオンラインが主だが、「サイズに困っている人は試着したいというニーズが強い」と、月に1度、試着会を開いている。同じ悩みを持つ女性が集まるため安心して参加でき、「『試着が初めて楽しいと思った』と言ってくれり、着用写真をSNS(交流サイト)にアップしてくれた人もいる」と和田さん。購入者はリピーターが約6割を占める。
1日からマルイファミリー海老名で期間限定店を開いている。東京のファッションビルでも今春、期間限定店を開く予定がある。
今後、商品の改良やアイテムの拡大などを進めながら、海外販売や企業との協業などにも着手したいと考えている。