小野莫大小工業 独自素材のイージーケア性を訴求

2017/08/24 04:27 更新


 小野莫大小工業(東京、小野元延社長)は18~19年秋冬に向け、独自素材「ウールコズモラマ」のイージーケア性を訴求する。オケージョンにも向く美しさと高い機能性を兼ね備えたウールとして、主力のレディス、メンズアパレルに改めて打ち出すとともに、スポーツやインナーなど新規販路の開拓を狙う。

(橋口侑佳)

 ウールコズモラマは、特殊な糸加工技術による、さらりとした肌触りと滑らかなドレープ、上品な光沢を併せ持つジャージー。エレガントな外観と着心地の良さで、国内外の有力アパレルから支持されてきた。

 あくまで「美しさを追求してきた」素材だったが、昨今の機能性への関心の高まりを受け、第三者機関で物性試験したところ、耐洗濯性や抗ピリング性で高いレベルが確認されたという。ウールは洗濯するとフェルト収縮するのが弱点だが、ウールコズモラマは耐洗濯性で5級を取得。ウール本来の吸放湿性も維持するという。ジャージーは柱の薄地のほか、厚地を拡充。同じ糸を使用し、シャツ地やコート地などの布帛も揃える。

 30日~9月1日、東京・南青山のライトボックススタジオで開く18~19年秋冬向け展示会で提案する。同展ではトレンド素材や定番品に加え、小野社長が直轄する研究開発室の半年間の集大成を発表する。

 目玉は、八丁撚糸機で作ったシルク強撚糸のジャージー。八丁撚糸機は主に和装向けのちりめんに使用され、現在稼働しているのは数台といわれる希少な機械。一般的に糸売りはされないが、工場のある京都・丹後に足を運び、開発にこぎつけた。独特のシャリ味を生かしたシンプルなジャージーのほか、落としたセリシンをあえてもう一度のせ、硬く仕上げたものや、型でセリシンを塗布し、マトラッセのような凹凸柄を作った。

 このほか、〝最高のTシャツ〟も仕掛ける。協業先の伊アルビニから仕入れた最高級超長綿のギザ87の120番双糸を、さらに双糸した糸を使ったTシャツで、限定50枚を販売するクラウドファンディングも予定する。

 研究開発室は昨年開設した。紡績や異業種と組み、新素材の開発を行っている。

シャツ地など布帛のバリエーションも広げる


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