「オン」 最新シューズをオートメーション製造、アッパーを3分で成型

2024/08/06 06:27 更新


パリ五輪・パラリンピックに合わせて開設した「オン・ラボ・パリ」で、革新的なアッパー製造技術「ライトスプレー」(LS)のデモンストレーションを行っている

 【パリ=松井孝予通信員】スイスのスポーツブランド「オン」がパリ五輪・パラリンピックに合わせて開設した「オン・ラボ・パリ」で、革新的なアッパー製造技術「ライトスプレー」のデモンストレーションをしている。この技術は、わずか3分で超軽量かつ継ぎ目のないアッパーを製造でき、その革新性とスピードが来場者に驚きを与えている。

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 デモンストレーションでは、世界に1台しかないスイス製のオートメーション製造ユニットが、ロボットアームに装備したプラスチック製足型にTPU(熱可塑(かそ)性ポリウレタン)のフィラメントをスプレーし、3分間でアッパーを成型する。工程は精密にプログラムされ、ヒール部分では安定性、甲部分では通気性と伸縮性を考慮して生産速度が変わる。アッパーが完成すると、アームで渡された足型にインクジェットプリントでカラーリングとブランディングを施し、UV(紫外線)照射で定着。この工程もたった3分間。粗熱が冷めるとケーキのように足型から取り外され、オン史上最軽量、片足(メンズ)170グラムのシューズが完成する。

オン史上最軽量、片足(メンズ)170グラムのシューズ

 この技術は環境負荷削減も考慮し、製造過程での廃棄物を最小限に抑え、他のレーシングシューズと比較して二酸化炭素排出量を75%削減。持続可能な技術としての側面も持ち、来場者に未来のシューズ製造の可能性をアピールしている。

 パリ五輪ではこの技術を採用したシューズを履いた女子マラソンのヘレン・オビリ選手の活躍が期待され、オン・ラボ・パリへの関心はさらに高まりそうだ。



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