ニューヨーク(NY)のリテールトレンドを定点観測するようになって10年が経過しました。13年に初めて取材のためニューヨークを訪問した際、他業種に比べ大きな変化が起きにくいと思われたリテール業界において、実験的なプロジェクトや斬新なビジネスがどんどん生まれていることに衝撃を受けたのがきっかけです。
DtoC衰えたわけ
10年前のリテールビジネスといえば、「ギルト」や「ファブ」といったフラッシュセールサイトが大きな時価総額をつけ注目されていました。クラウドファンディングが浸透し始め、「ワービーパーカー」「ボノボス」などのDtoC(消費者直販)ブランドがショールーム型店舗を作ってリアルに進出し始めたタイミングでした。
オンラインのドレスレンタルサービスやサブスクリプション(定額課金)コマース、パーソナルスタイリングコマース、メディアコマースなど、今となっては当たり前のサービスが業界で画期的なスタートアップとして話題になっていたのもこのころです。
その後、各カテゴリーにDtoCが乱立し、DtoCがリテール業界で驚異的な拡大を遂げたものの、コロナ禍でその勢いは一気に衰え、現在はリセールアイテムを含むラグジュアリーブランドの存在感が過去最大に強まっています。
失った優位性
この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約いただくと続きを読むことができます。
すべての記事が読み放題の「繊研電子版」
単体プランならご契約当月末まで無料!