米2大スポーツメーカーCEO 1月交代 ナイキはIT出身者

2019/10/28 06:30 更新


 米2大総合スポーツメーカーのナイキとアンダーアーマーは、20年1月でCEO(最高経営責任者)を交代すると発表した。

 06年度以来ナイキのCEOを務めるマーク・パーカー氏は、大学のトラックランナー出身で靴のデザインを手掛け、ナイキで育った経営者。アンダーアーマーのケブン・プランクCEOはフットボール選手出身の創業者で、スポーツオーソリティが破綻した後の17年度から苦戦が続くものの、過去20年間にわたって同社を急成長させてきた。いずれも今日の基盤を築いた実績を持ち、新CEOの就任後も、執行役員会長やブランドチーフ(プランク氏)として業務に関わることになる。

 ナイキが次期CEOに選んだジョン・ドナホ氏は、14年度からナイキの社外取締役を務め、元イーベイのCEO、サービスナウのCEO、ペイパルの会長を務めたIT業界出身の経営者。ナイキでは18年度、次期CEO候補をはじめ管理職約10人がセクハラや不適切な行為で退任する事件があった。

 このときパーカーCEOが20年度以降まで続投することが発表されていたが、今回の起用は、今後拡大が期待されるDTC(ダイレクト・ツー・コンシューマー=直営店、EC)部門など、ドナホ氏が持つ強い指導力、ECの経験、テクノロジーとグローバル戦略の手腕を発揮できると期待する。

 ナイキの売上高(19年5月期)は、391億ドルで前年比11%増、うちDTCは118億ドルで16%増、ECは16%増、約46%を占める北米も7%増と好調だ。

 アンダーアーマーが選んだパトリック・フリスク氏は17年から同社のCOO(最高執行責任者)を務める。以前は、靴とアクセサリーのチェーン店アルドグループのCEO、VFコーポレーションのティンバーランド社長やザ・ノース・フェイスの副社長などを務めた業界30年のベテランである。

 アンダーアーマーの売上高(18年12月期)は52億ドルで前年比4%増、約26%を占める海外市場は23%増と好調だが、74%を占める北米が2%減と苦戦。最近は宇宙服などパフォーマンスに焦点を当てた開発が進んでいるが、今後、北米市場の回復はじめ、新CEOの手腕が注目される。

(サンフランシスコ=立野啓子通信員)



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