アパレルの物作り新戦略③ 三陽商会

2018/09/16 06:29 更新


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 三陽商会のコーポレートブランド事業は、75年の歴史のなかで蓄積した物作りのノウハウを盛り込んたブランド群で構成する。とりわけ「サンヨーコート」は祖業のコート専業。世界に通用する日本のアウターとしての細やかさに特徴がある。

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MD変革から

 〝新生サンヨーコート〟と言える「100年コート」は創業70年にあたる13年に立ち上げた。

 15年に設立した三陽銀座タワーの直営店での販売を開始、16年には百貨店平場での販売をやめた。中国やASEAN(東南アジア諸国連合)で生産していたボリュームゾーン向けのダウンコートの生産も中止した。「日本製にこだわって、価格帯や商品のグレードも向上する戦略」を打ち出し、セールをしない方針を貫いた。この影響で16年秋冬の販売は減少したが、売上高はメンズで前年比70%、レディスは90%の水準でとどまった。

 1、2月にセールをしなかった結果、プロパー消化率が向上し、利益面も改善した。事業本部コーポレートビジネス部コート企画グループの石田和孝主任は「小売り価格や原価率の設定の枠のなかで物作りをコントロールすることだけがMDの役割ではない。良い物であれば、値段が高くなっても、頑張って売ろうと考えられるチーム作りがMDの仕事」と言い切る。

専業のこだわり

 サンヨーコートは〝ミリ単位のこだわり〟でセンスの良さを形にする。18年秋冬には復刻ライン「ブルーフラッグ」を販売。綿60番手双糸のギャバジンを使ったビッグシルエットで、製品洗いしたコートを販売する。後ろ身頃の襟付け部分を浮かせ、襟元は今っぽい抜け感がある。歴代の作り手が継承してきた「コートの顔は襟」を体現したものだ。

 一方、「ブルーフラッグ+キミノリ・モリシタ」はウーリーナイロンの生地を、ウールの60番手単糸を編み立てた国産ニットで挟み込んだ三層の生地を使う。さらに布帛のような質感にする縮絨(しゅくじゅう)加工を施す。TPS(特殊千鳥ミシンによる縫製技術)の縫い代のないフラットな仕上がりで、着心地の良さと洗練された外観。ラペルのはぎ部分を内側に付けてステッチは隠す。

 「市場に何百万もの商品情報があふれるなか、消費者は何を買っていいのか分からない」。そこで購買の判断基準となるキーワードに「ストーリー性」「歴史」「デザイナーへの共感」を挙げる。今、世界でダウンコートやパンツ、ニットなどの老舗専業メーカーへの信頼が高まる傾向にある。サンヨーコートも従来の取引先である米ノードストロームなどに加え、18年秋冬からはブルーミングデールズでの100年コートの販売が決まった。上海地域での卸販売も始める。サンヨーコートは、歴史ある専業ブランドとして海外市場を切り開き始めた。

洗練されたコンテンポラリーなコートを企画する

(繊研新聞本紙7月25日付けから)


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