1925年8月27日は小説家、丸谷才一の生まれた日です。この日、山形県鶴岡市に生まれています。ごく簡単に言って、英文学者の中野好夫の弟子、小澤征爾の先生であった人物です。
東大の英文科に学び、小説家のジェイムズ・ジョイスを知ったことが、後々の作家活動に多くの影響与えてもいます。基本的に、歴史的仮名遣いを用いた人でもあります。また、昭和に生きた作家としては、第一の名文家でもありました。
そしてこれはぜひとも、声を大きくして言うべきですが、男の服についての名随筆を多く残してもいます。例えば、『ネクタイ知ったかぶり』という題の随筆。名文です。長いので、ぜんぶは引用できません。
ネクタイについて縦横無尽に語る中で、英文学者の吉田健一を引き合いに出しています。濃紺の無地のタイしか結ばなかった、と。そして、最後にこう結ぶのです。「タイを選ぶ基本の心得はタイとシャツの色の調和だといふ箇所。これは大事な忠告である」と。(服飾評論家・出石尚三)