ナオキ・タキザワ・デザイン(東京)の「ナオキ・タキザワ」の秋冬の売りは、手仕事感のある裏毛のスウェットで立体的なフォルムを生み出したアイテム。大量生産が前提のスウェットは平面的になりがちだが、カッティングや縫製などクチュールの技法で工夫した。東レのハイテク素材も使うなど、優れた日本の生地と巧みな技を生かした〝デザイナーズアスレチックウェア〟だ。
(永松浩介)
企画の8割はデザイナーの滝沢直己が好きだという丸編み。そこに多彩な日本の生地を当てこんだ。
クラフト感を残すエイガールズ(和歌山)の素材を使った商品は、ジャージーやスウェットの伸縮性を生かして袖や背中にドレープ感を出したり、ファスナーでハリを出したり。「伸びる生地は難しいが、うまく操れるカッティングを思いついた」と滝沢。技術提携するエイガールズと開発した。トップが税抜き10万円、パンツ7万8000円。
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東レの生地は絹と同じ断面形状を持つシルキーな「キナリ」や、和紙のような質感の「カミフ」を使った。ともにポリエステル100%で複合紡糸技術「ナノデザイン」を生かしたものだ。キナリを使ったトップ7万8000円、スカート6万8000円。
シルクのようなキナリにプリーツをかけ、しわになりにくくしたワンピースやスカート、カミフのリバーシブルのブルゾンは中わたを入れてフォルムを作った。
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「優れたハイテク素材と手仕事感を残す生地。どちらも日本の強み」と滝沢。そこにクチュールの技術で、スポーティーにフェミニンさを出した。輸入卸のLTN(大阪)が専門店や百貨店向け卸しを担う。
滝沢直己、TGCに出る
デビューから20周年の節目となる今春夏物から大きく生まれ変わったブランドを、より多くの人の目に触れてもらう舞台として3月1日開催の東京ガールズコレクション(TGC)を選んだ。そのわけとは?
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自分の世界ではないと思っていましたが、えらく盛り上がっているみたいだし、面白そうだなと気になっていました。でも出たいとは言いづらいなと思っていたら声をかけてもらって。新しくなった自分の服を見てもらうのにはいい機会だなと。
20年ほど前にニューヨークでコレクションを披露していた時代と今は違います。K-POPのスターがラグジュアリーブランドのアンバサダーになる時代ですから。「ユニクロ」や「無印良品」など様々なブランドと仕事をして大きなマーケットも見てきたからか、より多くの人のための日常着を作りたくなったんです。
とはいえ、単なるスポーティーなリアルクローズではないし、「ナイキ」や「チャンピオン」を目指しているわけでもない。デザイナーの人生観とか世界観が背後にしっかり感じられるもの。多くの人と言っても、全部に応えようとすると中途半端になりますから。
自分は一つの場所にとどまることができない性分。常に新しい挑戦をしたい。TGCに出るのにはそんな理由もあります。どんな反応が得られるのか楽しみです。