《私のビジネス日記帳》小さなオケージョンを作る 橋本修男

2024/05/15 06:25 更新


 外出機会の復活で売り上げは急回復しました。が、都市部のSCの来館者数はコロナ前水準にまだ戻っていません。物価上昇による節約志向の強まりがあり、少子化で主力顧客層である若者人口も縮んでいくことを考えると、入学式や母の日といったオケージョンへの対応はもちろん、館に足を運んでもらうきっかけになる「小さなオケージョン」をディベロッパー自身が作っていくことが必要。そんな思いから、事あるごとにこの言葉を使っています。

 お客様の来館目的の一番は買い物や食事ですが、ゆっくり滞在してもらうことや新しいお客様が来るきっかけになるポップアップにも力を入れています。お客様の〝ため息〟を解決するルクア大阪の「妄想ショップ」の定期開催、天王寺ミオのキャラクターショップや食を集積したフロア構築など、リアルならではの来館価値、体験価値を高めています。

 長い夏のせいで盛り上がりが今一つのセールも、館全体がお祭り感覚で盛り上がる仕掛けを企画し、お客様が買い回りを楽しめるようにすることで、「買い物を楽しみに来たお客様」「利益なき繁忙を避けたい店舗」「来館者を増やしたいディベロッパー」が三方良しの小さなオケージョンになるでしょう。楽しく買い回れる仕掛けや、スタッフがお客様の気持ちを動かす接客に力を発揮できる環境整備が大事な役割になってきます。

 主体的に小さなオケージョンを作ることが、来館者数や客単価の向上、店舗とディベロッパーのウィンウィンな館運営、スタッフの働きがいにもつながればと思っています。

(JR西日本SC開発社長)

「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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