91年からアパレルキャリアをスタートし、メンズカジュアルの企画一筋、気付けば32年が経ちました。「シピー」というフレンチデニムブランドのデザイナーが最初の仕事だったせいか、仏テイストなデザインの仕事を多く手掛けてきました。現在は自身のブランド「オーベルジュ」で欧米ビンテージを軸とした男の憧れを日本の最高技術で作り込んでいます。
そのオーベルジュのスタートとともにユーチューブチャンネルを開設したのが18年。我々のプロダクトを知っていただくツールとして、動画というものに底無しのパワーを感じ始めていた頃でした。何せデザイナー自らが高速トークで語り尽くす、生みの苦しみをエンタメ化するチャンネルなんて前例がなく、まさに手探りでした。
20年、時はコロナ禍となり、ネット通販に変化が起きた。購入希望者はエンタメ越しの深い商品情報を求めていたのです。その波に同チャンネルを乗せたわけです。視聴者に見守られながら一緒に作り上げる、温かな環境がウェブの中に生まれました。
ユーチューブは登録者数ありきなので、引きのあるリーバイスデニムのうんちくや謎多きフレンチビンテージ解説など、自分の商品紹介以外のコンテンツも散りばめながら5年で登録者数1万6000人ほどとなりました。他力に左右されない小さな自主メディアが持てたのです。ブランド運営上、この上ない大きな力となりました。
(スロウガン代表)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。