森ビルの商業施設 19年3月期は6施設全てが増収

2019/05/13 06:28 更新


 森ビルの商業施設の19年3月期の売上高は6施設全てが前年実績を上回り、合計で前期比6.2%増と好調だった。17年度に引き続き、館特性に合わせたMDと顧客拡大策が実った。六本木ヒルズ、表参道ヒルズを中心に、上質で高感度なファッションやコスメ、飲食が好調でインバウンド(訪日外国人)売り上げも伸ばした。

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 各施設の前期売上高は六本木ヒルズが2.9%増、表参道ヒルズが3.5%増で、ヴィーナスフォートが16.9%増、アークヒルズが17.1%増、愛宕グリーンヒルズが10%増と大きく伸ばした。虎ノ門ヒルズは改装に伴う休業区画があったなかで、0.5%増と健闘した。グループ会社が運営するラフォーレ原宿も4.5%増とし、4期連続の増収を達成した。ラフォーレを除く全6施設を通じたインバウンド売上高は6%増となった。

 六本木ヒルズは7期連続増収で、過去最高売上高を更新した。16年春から段階的に実施しているラグジュアリー化を目指した改装が実った。ファッションは拡充した海外ラグジュアリーブランド、昨秋に導入した「ビームス」の旗艦店を含む日本の大型セレクトショップがけん引した。昨秋に大型改装したレストランフロアを中心に飲食も好調だった。表参道ヒルズはラグジュアリーブランドのほか、日本のモード・クリエイター系やメンズ、コスメなどが好調だった。

 東京・台場の大型複合施設「お台場パレットタウン」内のヴィーナスフォートは17年度に厳しかったインバウンド売り上げが復調した。昨春夏に大型改装し、近隣の子育てファミリー向けの店舗やアウトレットゾーンでの高感度ファッションを強化したことも実った。加えて、パレットタウンに昨年6月にオープンした森ビルとチームラボとの協業によるデジタルアートミュージアムがインバウンドを含めて好調で、「集客効果が波及した」(荒川信雄執行役員営業本部商業施設事業部統括部長補佐)。前期の来館者数は20%増と伸びた。

 アークヒルズ、愛宕グリーンヒルズは飲食店が改装効果で売り上げを伸ばした。

 六本木ヒルズ、表参道ヒルズを中心に、自社カード「ヒルズカード」の上顧客向けのサービスを強化し、成果を上げた。年間購買額100万円以上の「3スター」会員と同300万円以上の「4スター」会員の売り上げは2ケタ増となった。

 今期は六本木ヒルズの大型改装を完了させる。街としてアートの発信を強め、食のエンターテインメント性も高める。ヴィーナスフォートは8月25日の開業20周年を記念した大型企画を軸に、集客をさらに増やす。虎ノ門ヒルズ森タワーで商業面積の約5割にあたる1550平方メートルを改装する。

 虎ノ門ヒルズのビジネスタワー(仮称)が今年12月、レジデンシャルタワーが21年1月、ステーションタワーが22年度に完工する予定であることを踏まえ、「それぞれの役割分担を明確にする」ための施策。従来は飲食店主体だったが、「近隣の就業者や居住者の日常需要に応えるサービス機能などを強化する」方針だ。



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